公契約条例で下限額を設定、下請け事業者も含めて適切な賃金支払いを 

5月21日、伊藤はつみ県議は公契約条例を持っている越谷市を訪れ、工藤秀次市議会議員とともに担当者から話を聞きました。

越谷市は市内の雇用促進、市内中小企業の受注機会の増大などを目的に、2016年に全会一致で公契約条例を可決し、2017年4月1日から実施しています。

条例を策定するにあたり、条例導入自治体等への調査や労働団体からのヒアリング、事業者への調査や説明を繰り返し行っていました。

労働報酬の下限額を設定

理念だけで終わらないよう、労働報酬等審議会を設置し、労働報酬下限額について審議会で審議し、決定しています。労働者の賃金が下限額を下回っていることが発覚した場合は是正を求めますが、従わない場合、違反事実の公表や指名停止などの措置が行われる場合があります。

下限額は従事するすべての労働者(下請負、再委託労働者、一人親方を含む)に適用され、賃金が保障されます。下請け事業者の従業員にまで適切な賃金が行きわたらないという事態を防ぐ意味でこの下限額の設定は重要です。

ただし下限額はすべての契約について適応されるわけではなく、建設工事であれば、予定価格5000万円以上、業務委託であれば、予定価格1000万円以上、指定管理協定であれば、委託料の上限が1000万円以上になる契約についてのみです。

労働報酬等審議会の中に下限額適用となる契約の条件を引き下げるべきとの声もありますが、業者側から「そうなったらつらい」との声もあり、引き下げは難しいのではと話していました。

課題は下限額がきちんと守られているかどう確認するか

下限額を上回る賃金がきちんと支払われているかをどう確認していくかが課題です。

越谷市では「現在、アンケート用紙に職種ごとの下限額を書いた表をつけ、現場に置かせてもらい、その結果を審議会にかけるという取り組みを行っていますが、無記名であり、下限額を下回っているとの通告があっても追及しずらいのが課題」と話していました。「現場を回って、直接労働者に話を聞いて、賃金把握に努めるだけの職員体制はない」とも話していました。