岩手県、中小企業の労働者2万人分の賃上げを支援

5月22日、岩手県が現在2回目を実施している「物価高騰対策賃上げ支援金」について、城下のり子県議、伊藤はつみ県議が岩手県の担当者と日本共産党の斉藤信岩手県議から話を聞きました。



岩手県は物価高騰に賃上げが追いつかないこと。最低賃金が813円(当時)で全国単独最下位であることなどから、2023年12月議会で物価高騰対策賃上げ支援金の実施を決めました。この支援金は50円以上の賃上げを行った中小企業等を対象に、従業員1人あたり5万円(最大20人分)を支給するというものです。賃上げしたら1年間は継続することなどを条件にしています。

予算額は21億円。国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を使っています。
支給事業者は当初2000件を見込んでいたものの、2889件。支給額は10億1565万円。支給対象者数は2万313人でした。従業員規模で見ますと従業員1名から5名の事業者が28%、6人から20人の事業者が42%で7割が小さな事業者です。業種別では製造業25.6%、建設業19.1%、卸売業・小売業14.3%、医療・福祉10.5%です。

現在2回目の支援金の申請を受付中です。今回の支援金は2024年10月1日から2025年9月30日までの間に賃上げ月の前月と比較し、時給60円以上引き上げていること。賃上げ水準を1年以上継続することを要件にして、従業員1人あたり6万円。最大50人分を支援することにしています。予算規模は19億4000万円。半分は国の交付金です。要件さえクリアしていれば、1回目申請した事業者も申請できます。

5月20日時点で1054件の申請があり、支給額は6億3564万円です。「4月に賃上げを行う企業が多いので、申請はこれからがピークとなるのではないか」と県の担当者は話していました。

根本的には国が支援すべき

斉藤県議は「岩手県は1年に4回、商工会議所と一緒に、中小企業の物価高騰の影響調査を行っていて、その中で物価高騰分を価格に転嫁できたと答えた企業が30%未満と、ほとんど価格に転嫁できない。岩手県の中小企業の65.8%は赤字などの実態が浮き彫りになっている。そうした中で、昨年10月、岩手県の最低賃金が59円にあがった。中小企業にとって59年の値上げは本当に大変なこと。そうしたことから昨年12月に臨時議会を開いて決めた」と話しておられました。

県内の中小企業の実態をきちんと調査している点、賃上げ以外の要件を課していない点、業種を問わず活用でき、人材不足といわれる製造業、建設業、医療・福祉などの業種で、多く活用されている点、事業者の賃上げの後押しになっている点は重要だと感じました。

一方で斉藤県議も話していましたが、支援金は申請したら1回限り。しかし賃上げは1年間継続しなければならず、社会保険料、ボーナスなどを含めると県の支援金だけではまかなえず、事業者の負担分が生まれてしまいます。

都道府県だけで行うには限界があり、物価高騰で苦しむ国民のために国が支援を行うべきです。