「被害者の多くは10・20代」―性暴力被害にあった方を受け入れている医療機関を訪問 

埼玉県は性暴力等の犯罪にあった方からの電話相談を24時間受付けています(アイリスホットライン)。

また県内6つの医療機関に証拠資料採取キットを配布し、被害者支援を行っています。

5月16日、証拠採取実施医療機関であり、性犯罪被害者支援を行っている医療機関を柳下礼子県議、秋山もえ県議が訪れ、お話をお聞きました。

この医療機関では性暴力被害者支援看護職(SANEセイン)を置き、証拠採取や性感染症・妊娠検査や治療を行っています。妊娠しないために被害後72時間以内であれば緊急避妊薬の処方も行っています。

SANEの方からお話を聞くことができました。

 

【性暴力被害者支援看護師の話】

被害者の多くは10代・20代であること。

来院の経緯としては多くは警察の届け出後。病院に直接連絡してくるケースはいまのところない。

警察に届け出たあと病院に来られた方の診察は行う際は警察で一通りのことを聞かれているので、繰り返し同じことを聞くことのないように診察のガイドラインに沿って行われている。

SANEは育成するのに2年。2か月に1回研修があり、この医療機関では2人目の方が研修を受けているとのこと。

診察はできる限り女性医師が行うよう努めているが時間外となると当直との関係で男性医師になる場合も出てきてしまう。

また看護師、助産師が介助にあたり、心理面に配慮しながら診察を実施しているとのことでした。

お話をお聞きし、性暴力の被害にあった方に丁寧に寄り添おうと最大限努力されていることを感じました。

 

【課題や県への要望は】

課題として感じていることや県への要望などを伺うと、「SANEの研修会で『最近男性の性暴力被害者から相談が増えてきている』との話を聞きました。男性被害者への対応は産婦人科ではできないからどうしたらいいかね。今後泌尿器科などとの連携が必要かもしれないと話しています」とのことでした。

また県への要望では「病院拠点型の性犯罪被害者支援を実施しているところは裏から入れる。待合室、相談室など別室を用意していますし、SANEも複数いるという体制になっています。病院拠点型が必要なのではないでしょうか」とのことでした。

 

 

【埼玉県における課題】

看護師の方が話されていましたが、埼玉では病院拠点型ワンストップ支援センターとはなっていません。証拠採取実施医療機関が県内に複数あることは重要ですが、基幹病院をつくり、そこに病院拠点型ワンストップ支援センターを置き、他の証拠採取実施医療機関と連携をとっていくということができればと感じました。

また埼玉県では警察への被害届を出さないと医療費が公費負担にならないとのことで、1万円ほどかかるとのこと。2019年いに視察した千葉県の病院拠点型ワンストップ支援センターでは被害届の有無にかかわらず医療費が公費負担にできるとのお話でしたので、埼玉でもそうしていく必要があると感じました。