コロナ禍の教訓:公立公的病院の統廃合は撤回を

厚生労働省は2019年に、公立・公的医療機関等の診療データ分析結果に基づき、全国で424病院、埼玉県では7病院を、再編統合に向けた議論の対象として公表しました。急性期病床があること、そしてがん治療や救急医療の診療実績が少ない病院、又は車で二十分以内に類似かつ近接する医療機関がある病院が対象です。しかし、コロナ禍にあたって、名指しされた医療機関の多くが、コロナ病床及び診療検査機関として民間医療機関にはできない取り組みを行ってきています。

一方総務省は3月に「公立病院経営強化ガイドライン」を公表・通知。

党県議団は、5月13日に総務省からガイドラインの説明を受けました。

党県議団の柳下礼子団長、前原かづえ県議、守屋裕子県議はじめ神田義行さいたま市議、蓮見節東松山市議、城下師子所沢市議、矢作いづみ所沢市議が参加しました。

塩川鉄也衆議院議員、伊藤岳参議院議員、梅村さえ子元衆議院議員が同席しました。

これまでのガイドラインでは「再編・ネットワーク化」などに取り組んできました。

これは、公立公的病院を一般会計の重荷としてとらえ、統廃合を促すものです。

しかしこの間「コロナ対応公立病院が中核的な役割を果たし、感染症拡大時の対応における公立病院の果たす役割の重要性が改めて認識され」たとして、

「(公立病院の)機能分化・連携強化」という文言に変えました。

これまで「複数病院の統合を前提に設備整備費などを補助してきましたが

これからは「不採算地区病院を維持しつつ、基幹病院と連携して医師派遣をしてもらい存続することも可能」として、

基幹病院に補助するしくみも創設しました。

「地域に必要な病院を存続させることができるようにする」という説明でした。

一同は、このことは評価しつつ

一方で「機能分化・連携強化」が「基幹病院は急性期病床、不採算病院は慢性期病床・初期救急」と役割分担をし

基幹病院から不採算病院に医師や看護師を派遣するしくみだとする説明に懸念が続出しました。

蕨の市民病院は、赤字から黒字に現市長のもとで転換しましたが

市長みずから常勤の医師を確保したことがカギであったとして「派遣の医師で経営強化ができるのか?」

東松山の蓮見市議は

「2病院が距離が近いとして、統廃合の対象とされた。センター長と懇談もした。

東松山など比企地域には基幹病院はない。連携といっても候補がない。

2つの病院も100床あまりで中核とはなれない。

また市民病院は「急性期病床を増やしたい」といっている。基幹病院でなければ急性期認めないとされたら困る」

「埼玉県は、急性期から慢性期へ病床の移行を進めてきた。

しかし、コロナ病床は急性期で、コロナ蔓延の中で、小さな医療機関にもコロナ病床つくれと厳しく要請した。

不採算だからと言って、基幹病院に急性期病床が移行されたら、コロナ禍の教訓がいかされない」

などなどです。

一同は一致して「424医療機関を名指しした公立病院統廃合名簿を撤回してほしい」と要請しました。

伊藤岳参議院議員は「公立病院は減らさないでという切実な意見だ。

医師派遣では、感染症蔓延期にはおいつかない」

塩川衆議院議員は「医師・看護師など医療資源がもともと足りない。これは党派を超え、県の要求にもなっている」

とそれぞれ指摘しました。