保育所へのICTシステム押しつけー伊藤はつみ県議の一般質問③

県は補助もしないのに・・・・

6月20日伊藤はつみ県議が本会議一般質問を行い、訪問介護や保育所の経営問題をとりあげました。

保育所現場にICTシステムおしつけ
県は今年度、1歳児の保育士を4人につき一人配置する「1歳児加算」について「ICTの導入」という条件を新たに付け加えます。これは国の配置基準見直しに伴うものです。埼玉県はもともと、国の1歳児6人に保育士一人という配置基準に対して、県単独で1歳児4人に保育士一人を配置する加算を行ってきており、このことは高く評価するものです。しかし、今回国が「ICT導入」という条件を付与したことにならって、県も基準に加えるというのは問題です。
コドモン・ルックミー・キッズミーという保育所用システムは、登園管理や写真管理など便利な機能をもっています。
年100万円かかるICT
しかし、基準通りシステムを導入すれば、月に3万円程度新たな負担が発生します。保育士用タブレットまでそろえれば運営費として年100万円単位の金額が必要です。国のICT導入補助は国2分の1、市町村4分の1、保育所4分の1で、県は補助はしていません。
伊藤県議は「県としてICT条件を加えるのであれば、県として補助をすべき」と知事を追求。
これに対して知事は「保育の公定価格について県が経費の一部を負担している」といいはりました。公定価格は、運営費全般に行われる給付であり、ICTシステム導入のために特別に今年度増額されているわけではありません。また、国も市町村も負担しており、県だけが負担しているわけでもありません。知事は「ICT導入のための県単補助」については全く答弁しようとしませんでした。
 
 
 

訪問介護報酬削減による経営危機

昨年度政府は、介護事業の中で唯一訪問介護事業の報酬を削減しました。その結果として全国で訪問介護事業が危機に陥っています。全国には訪問介護事業所がゼロの自治体は97町村、のこり1は277市町村ありますが、埼玉県内はゼロは東秩父村 あとのこり1か所は越生町、鳩山町、横瀬町の3町です。
伊藤はつみ県議は、「福祉部長、訪問介護は危機だという認識はありますか?」と質問。福祉部長は「訪問介護事業所の経営は大変厳しい状況にある」と答弁しました。

山道を40分かけて訪問

政府は、訪問介護が黒字だとして報酬を下げました。しかし、サービス付き高齢者住宅や有料老人ホームに効率的に通う事業者は黒字かもしれません。しかし、私がお話を伺った事業者は、訪問はほとんどが自動車です。ヘルパーさんは山道を片道40分かけて訪問するときもある。雪の日があれば、社長みずからが自動車を出してヘルパーさんを送っていく。介護報酬には自動車加算はありません。それどころか報酬は都心部の方が高く設定されています。そのため、ガソリン以外、自動車はすべてヘルパーさん持ちです。

知事「私自らが国に強く要望する」

伊藤県議は「効率的な訪問介護事業も広大な地域を自動車で訪問する事業者も、同じ減額報酬というのはおかしいと思います。知事、訪問介護の報酬改定を国に強く要望していただきたい」と要求しました。
知事は「県として、報酬改定において減額された訪問介護サービスについて、増額をはじめ早急に必要な措置をとるよう、私自ら国に対し強く要望する」と答弁しました。