岩手県に学び中小企業への直接支援を―伊藤はつみ県議一般質問②

6月20日伊藤はつみ県議は、本会議一般質問で中小企業への直接支援と公契約条例制定を求めました。

県内中小企業、57%が「大変」

働く人の多くの賃金が物価高に追いついていません。これが暮らしの苦しさの最大の要因です。実質賃金は、3年連続マイナスで、1996年のピーク時から年額74万円も減っています。

埼玉県も県内事業所2200社に対し、四半期ごとに経営動向調査を実施されていますが事業所の57%が物価高騰で大変、45%が人手不足と答えています(令和5年度)。

岩手県の直接支援2896件の申請

岩手県は、2023年度に21億円の補正予算を組み、時給50円以上の賃上げをした中小企業に対し、従業員1人あたり5万円、1事業所に最大100万円を支給する制度を創設しました。建設業、製造業、医療福祉、サービス業など対象業種も多いことも特徴です。2千件程度の申請を想定していたそうですが、2896件と大きく想定を上回りました。

伊藤はつみ県議は「この全国に先駆けた取り組みは中小事業者が賃上げをする契機となったことは明らか。同様に岩手県、徳島県、奈良県、群馬県などで中小企業への直接支援を実施している。」として「物価高騰・人手不足解消には、中小事業所に県が直接支援をして賃金を引き上げることが一番の解決策だと考える。岩手県のように中小事業者支援事業の創設をおこない、労働者に直接届く支援を埼玉県も実施すべきではないか」と質問。

知事「直接支援は一過性にとどまる」

これに対し知事は岩手県の直接支援は「一過性にとどまる可能性がある。」として拒否。「価格転嫁の円滑化に関する協定を全国にさきがけ締結した」と、価格転嫁を推進し、成果をあげていると答弁しました。経営動向調査で57%が大変だと答えている、この数字はどうみたらよいのでしょうか。

公契約のもと、建設労働者にアンケート実施の越谷市

伊藤県議は「中小事業者支援ができないのであれば、公契約条例を制定して賃金保障して人材を確保するしかありません」と述べました。そのうえで、「党県議団は公契約条例を制定している越谷市でお話をうかがってきました。」と紹介。越谷市は、公共事業の建設現場でアンケートを配布し、①市が決めた労働報酬下限額以上の賃金が支払われることを約束されていますか。②実際にもらっていますか。と聞いています。さらに、自分の職種の労働報酬はいくらが下限なのか、計算できるようになっています。そして、未払いがある場合などは契約課に相談してくださいと最後には書いてあります。

伊藤県議は「県の発注工事現場でも、越谷市のように賃金を把握していただきたい」と要求。県土整備部長は「労働環境モデル工事を選定し、建設労働者の賃金を把握している」と答えましたが、調査対象は元請け業者です。

部長「公契約条例は事業者側から慎重な声」

2024年度県の週休2日制モデル現場におけるCCUSモデル現場従事者アンケートの結果では、レベル4の技術をとった鉄筋工でも、1日3万1600円の設計労務単価にもかかわらず、実際には1万5000円しかもらっていないことがわかりました。

伊藤県議は、こういう実態をつかむためにも、県公契約条例を制定し、労働報酬下限額を定め、越谷市のように現場の労働者に直接アンケートをすべきでは」と質問。産業労働部長は「公契約条例は、労働者側からは賛成の声があがったものの、事業者側から慎重な声が強い」として「引き続き研究を進めていく」と答弁しました。