外国人による米軍・自衛隊基地隣接地の取得は7筆ー伊藤はつみ県議が反対討論

10月15日、伊藤はつみ県議は、自民党提出の意見書案2件について、反対の討論をしました。

以下全文です。

日本共産党の伊藤はつみです。

私は日本共産党埼玉県議団を代表して、議第53号「地方税源の偏在是正を求める意見書(案)」議第54号「外国資本による不動産の取得を制限するための早急な法整備を求める意見書(案)」に対する反対の討論を行います。

まず議第53号「地方税源の偏在是正を求める意見書」についてです。同意見書は東京都に税収が集中・流入し、本県など他県との格差が生じていることから、格差是正のために「税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系」の構築を求めたものです。反対の理由はこの「偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系」という文言が、総務省にかかると消費税拡大の理由とされかねないからです。

総務省と全国知事会は消費税の引き上げとセットで「税収の変動が大きい法人2税と消費税の交換により地方消費税の拡充を検討すべき」と提言しています。

党県議団は、なにより東京都との財政力格差解消を求める立場ですが、この文言は消費税拡大への危険な火種になりかねないとして、削除を提案してきましたが、うけいれられなかったため反対とするものです。

次に議題54号「外国資本による不動産の取得を制限するための早急な法整備を求める意見書(案)」についてです。同意見書は、国内の外国資本と思われる者による土地取得により森林環境と水源地域の保全に懸念や、安全保障上大きな問題が生じているとして、外国資本による不動産取得を制限するための法整備を求めています。

反対の理由は、同意見書には外国人の不動産取得状況についての、正確な根拠が示されておらず、立法事実が認められないからです。また、そのような意見書が採択されることによって、近年広がってきた外国人排外の風潮をさらに助長することになるからです。

 党県議団は、前回、同様の意見書に賛成しましたが、その後外国人の土地取得状況を調査することによって、認識を新たにいたしました。まず、森林の取得についてですが、農林水産省令和7年9月のプレスリリースによると、外国法人等による森林取得は令和6年総森林面積の0.07%、昨年1年間ではわずか0.003%にすぎません。一方でアメリカ合衆国内における外国人等による森林の所有割合は5.0%日本の71倍の割合です。

また2021年に防衛省が公表した米軍・自衛隊基地に隣接する土地調査によれば、土地所有者8万人に対して、外国人とみられる所有土地は7筆にすぎないと明らかになっています。

このような事実からは、同意見書の懸念や安全保障上の問題は、ほとんど根拠がないと言わざるをえません。

私たちが、今回反対へと態度を変更したのは、昨今の外国人への根拠のない攻撃やヘイトクライムなど、排外主義的攻撃が異常に高まっていることへの懸念があります。(本県議会においても、わが国も締結した国連人権規約すら踏まえない、外国人差別発言が行われました。)外国人への根拠のない攻撃は、関東大震災時の虐殺のような暴力や、ひいては戦争につながっていく道だということは、日本の歴史を直視すれば明らかです。

県議会という場はあくまで、事実に基づいて、平和な共生社会づくりの先頭に立つべきと考え、同意見書に反対するものです。