児童養護施設内の虐待防止へー県議団学習会

埼玉県熊谷市の児童養護施設雀幸園での虐待が、元園児より県に通告されたことを受けて(1月22日施設が虐待を認める記者会見)

http://www.jcp-saitama-pref.jp/topics-pref/3236

党県議団は、「施設内虐待を許さない会」事務局長の竹中勝美氏を講師に社会的養護についての学習を行いました。

梅村さえ子元衆議院議員も同席しました。

竹内氏は、児童の代替的養護に関する国連ガイドラインの翻訳を自ら行い、翻訳版の普及を政府に働きかけた経験を語り

児童の代替的養護に関する国連ガイドライン

ガイドラインに従って「幼い児童、特に3歳未満の児童の代替的養護は家庭を基本とした環境で提供されるべき」

「家庭を基本とした養護が開発されるまでの臨時措置としてのみ施設養護を利用すること」と

里親制度の普及、児童養護施設の小規模化、特に他の先進国には存在しない乳児院の廃止を求めました。

 

里親委託率、埼玉県は36位

しかし、日本と埼玉県の実態は、里親委託率が平成30年度末までの10年間で、10.5%から20.5%の伸びにすぎず、

とりわけ、都道府県格差が深刻で、埼玉県は18.8%と全国36位です。

一方さいたま市は近年の努力で40%全国6位となっています。

里親委託率の状況

児童養護施設は「大・中・小舎」といわれる大型施設に56.6%が措置されています(平成30年)

一方敷地も異にした「地域小規模児童養護施設」(6人程度までの施設)は8.5%にすぎません。

大規模施設は、食事も厨房で一括調理で大食堂でとり、残飯はすべて廃棄しています。部活動などで帰舎が遅くなった児童は食事をもらえない場合すらあるそうです。

小規模であれば、炊事はキッチンで職員が行い、児童も参加できるそうです。

また、乳児院は職員が交代制で保育を行うため、深刻な愛着障害も起きやすいとのことでした。

年間の養育経費は、東京都の場合、乳児院が682万円で、一方里親養育家庭が182万円です。

子ども時代をすべて施設で育つと仮定すると8千万円から1億2千万円が必要です。一方で里親養育では3714万円です。

現在の奨学金制度では、児童養護施設の児童が大学の入学金等が高校3年生のうちに準備できないことから施設出身者が大学に進学しづらいのだと語っていました。

また、自身が3人の児童の里親として養育をした経験から

委託終了後も、里子たちを支える必要性も強調されていました。

 

児童養護施設内の虐待を防止する運動の歴史も紹介

福岡育児院と恩寵園の虐待

福岡市指定養護施設「福岡育児院」の、バットでの体罰などを告発し、第3者委員会で調査、市から改善勧告を発出させた取り組み(最初の報道から13年もかかった!!)

船橋市児童養護施設「恩寵園」の、児童をハサミできるなどの虐待を4つの裁判に訴え、職員の実刑判決や県の損害賠償を勝ち取るなどの取り組みを紹介

施設内虐待防止が書かれていなかった虐待防止法の改正など、運動の成果が語られました。

県議団から「里親制度が普及しない理由はなんでしょうか」という質問に対しては

「もっと、里親制度を広報・普及すべきです」との答えでした。

里親制度の問題点は

・保育所などに2重委託できない

・共働きは委託されない

・委託費が低いなどがありましたが

「いずれも、厚労省が改善しています。我が家の場合、委託費は児童一人当たり15万円/月支払われてました」

とのことでした。