国保税引き下げのための基金への繰り入れは制度上可能(埼玉県保健医療部長)

3月13日城下のり子県議は予算特別委員会部局別審査で、国保税と後期高齢者医療保険料の負担軽減についてとりあげました。

国保税年収400万円は4万円の引上げ

国民健康保険税が高すぎます。県は先日、来年度の標準保険税率を示しました。示された税率をもとに、試算をしてみたところ、所沢市の場合 年収400万円の4人家族で、38万6千円と、昨年より4万円もの引き上げが示されました。年収240万円の単身家庭では、17万5千円と1万9千円の引き上げです。所沢市に限らず、すべての市町村が引き上げとなっています。

市町村一般会計からの繰り入れ認めない

城下県議は「標準保険税率はこれだけの保険税にしなければ、県への納付金を支払うことができないというもの。このような大幅な引き上げはできないと、市町村が判断して、一般会計から繰り入れして保険税を引き下げることは可能か?」と質問。保健医療部長は「第3期運営方針で法定外繰り入れの解消を目指すとしている」と繰り入れはできないと答弁。

基金への繰り入れ禁止ではない

城下県議は「市町村の基金を財源に保険税引き下げを行うことは可能。しかし、多くの市町村が、現在基金を使い果たしてきている。市町村の基金に一般会計から財政支援することは可能か?」と確認。保健医療部長は「制度上は可能だが、法定外繰り入れはするべきではない」と答え、城下県議は「法律上禁止されていないのですね」と確認しました。

城下県議は、第3期国保運営方針は県が一般会計から法定外繰り入れを行い、保険税の負担軽減を行うべきだと主張しました。

後期高齢者医療保険料、平均10万円超

後期高齢者医療制度が始まって16年、本県の後期高齢者は令和6年度約112万人の見込みです。

長引く物価高騰や社会保障費の負担増で被保険者の年金所得は制度発足時から約12万円も減っています。2年ごとに改正される保険料は右肩上がり、2024・25年度の保険料年額は平均8102円引き上げで10万2081円と初めて10万円台を超えました。埼玉の高齢者にとって、この負担はもう限界です。

後期高齢者医療の基金9年間変わらず

城下県議は「後期高齢者医療財政安定化基金は、保険料の引き上げ額を抑制するための財源に充てることが認められている。しかし、平成27年度から基金残高は102億円と、ほとんど変化していない。」と指摘。

城下県議は事前のヒアリングに基づき「後期高齢者の基金について、国の定めたリスク率に基づくなら、約23億円はなくてはならないと示されているが、県は最大の財政リスクに備えるために、その3倍、69億円を必要といっている」と指摘しました。

基金取り崩し、保険料負担軽減を迫る

「69億あればリスクに備えられるとしているのだから、保険料負担軽減のために、せめて31億円取り崩す」べきと質問。保健医療部長は「後期高齢者広域連合から繰り出しの申し出がない」と答弁。

城下県議は、後期高齢者医療の基金は国と県の支援で支えられえていることを確認。基金から保険料負担軽減のため繰り出すべきだと質問。保健医療部長は「県はあくまで助言する立場」と繰り返しました。

あくまで「助言する立場」と逃げる県に

懇話会議事録示し追求 これに対して城下県議は「私は、後期高齢者医療広域連合の懇話会の議事録を読んだが、県は基金の取り崩しに消極的な発言をしていた。助言と言っても、方向性を誘導する発言はできる。県として、国も認めている保険料引き下げのために、基金を取り崩す方向を積極的に助言してほしい」と厳しく指摘しました。