天明の火山災害に学ぶ=埼玉県立自然の博物館視察

 

党県議団は、11月19日県立自然の博物館を訪問しました。塩川鉄也衆議院議員も同行しました。

訪問の主旨は過去の埼玉県内の火山被害について講義していただくことです。

井上素子主任学芸員にご説明いただきました。

 

 

埼玉県に活火山はありませんが、群馬県には活火山が分布しています。

関東周辺の活火山の分布 黄色い線は、榛名山や浅間山噴火による降下火山灰の等層圧線

 

火山が噴火すると周囲に大量の噴出物が放出されます。溶岩や火砕流は火山麓に堆積しますが空中に放出された軽石や火山灰は上空の西向きの風によって東側に堆積します。そのため、埼玉県に火山灰が降下するのは主に県北部です。火山灰は少量であっても現代社会には多大な被害をもたらします。

 

川によっても火山被害はもたらされます。噴出して間もない火山灰や溶岩などが川などの水と混じって熱泥流となり下流を襲うこともあります。

 

また、堆積した火山灰と大量の雨がまじりあって一気に流れ下る火山泥流が、噴火後何年にもわたって発生します。

火山泥流は土石流より規模も速度もはるかに大きいため被害も大きくなります。

火山噴火は長年にわたって下流へ大量の土砂を供給して稼働を埋積するため、下流部では洪水が誘発されます。

埼玉県にもたらされる火山災害は主にこの河川への土砂流出であり、中でも浅間山(1783年〈天明3年〉)や榛名山二つ岳(500年代半ば)の大規模な噴火は

利根川水系の河道変遷や、人工的な河川の付け替えに多大な影響を与えました。

 

 

 

1707年の富士山宝永噴火は16日間にわたり降灰が続き、総噴出量約7億リューベもの火山灰が堆積したとのこと。

 

この図をみると、現代社会で同様の富士山噴火が起こった場合、埼玉県より下流域に大量の降灰が予想されます。

どのような被害が上流埼玉県にもたらされるのか、シミュレーションが必要でしょう。

内閣府も埼玉県の地域防災計画も火山災害への備えが十分といえません。

今後、この点を提案していきたいと思います

 

講演後、博物館展示を見せていただきました。

平成28年3月に「古秩父湾堆積層及び海棲哺乳類化石群」が国の天然記念物に指定されました。

これは、秩父湾堆積層=秩父市2カ所・横瀬町1か所・小鹿野町2カ所・皆野町1か所と

「パレオパラドキシア」やクジラの化石など9標本があわせて指定されたものです。

この日は、指定された実物化石を展示していました。

右手の骨が、パレオパラドキシアです。詳しくは

埼玉県立自然の博物館