部落差別の解消の推進に関する条例案は差別を固定化・永久化する 

7月7日、柳下礼子団長は党県議団を代表して議第一号議案埼玉県部落差別の解消の推進に関する条例案に反対討論を行いました。(条例案は共産党以外の賛成で可決)

 

以下討論全文です。

日本共産党の柳下礼子です。党県議団を代表して議第一号議案埼玉県部落差別の解消の推進に関する条例案に反対の立場から討論を行います。

 

反対の理由は、本条例案が、部落問題解決の歴史に逆行して、部落差別を固定化、永久化しかねないからです。

まず、第1に指摘したいのは、本条例が、部落解放同盟の行政への介入を復活させかねないということです。部落解放同盟が13時間にわたって高校の先生たち48人を監禁・暴行をした八鹿高校事件はまだ記憶に鮮明に残っています。同和地区のみの福祉や教育、公共事業などの特別対策予算は33年間で16兆円を超えていたとのことです。このような事態が全国に、もちろん埼玉県内にも起こったからこそ、同和対策特別措置法は廃止されたのです。

条例案は「部落」についても、「部落差別」についても明確な定義を行わず、解同の解釈が行政に押し付けられる余地を残しています。また第4条県の責務の「総合的な対策」も、具体的な定義がなく、これも団体の解釈が押し付けられかねません。

提案者は、「財政的措置が書かれていないこと」や「参議院の附帯決議で団体に対しても歯止めをかけている」から、「団体による糾弾が復活することはない」と委員会で述べています。しかしこのようなあいまいな規定では、差別解消を名目に特別対策を求めてくる団体の圧力から、自治体の自主性を守ることは非常に困難です。

一部団体による、脅しにもとづく不公正な同和行政による特権と利権は、かえって差別を助長するものです。このような事態の復活は絶対に許されません。

第2に指摘したいのは、第9条の「実態把握」は旧同和地区住民の洗い出し、精密調査や行き過ぎた意識調査によって、それ自体が国民の内心の自由を侵害し、分け隔てなく地域で生活する旧住民とそうでない者との間に新たな壁を作り出す強い危険性があります。

このように、本条例は真の差別解消にはつながりません。

自民党の友諠団体である自由同和会の2011年運動方針には「同和地区に住む人達を差別しようとする悪意を持った確信犯的な人は絶対になくならない。そのような差別を好む者が部落地名総鑑を作成してインターネットに流すなど悪用した場合には、毅然として対処することは当然であるが、今や混住化が進み半数以上は同和関係者以外の人達であることを広報することのほうが部落地名総鑑を無意味にする近道ではないだろうか。」と述べられています。

自由法曹団なども、こうしたネットへの差別的書き込みについては、いわゆるプロバイダー責任制限法という法律もあるわけで、これに基づいて「削除請求するなど、既存の法律で対応することが可能である。」というふうに提案しております。わたしは、このような方向でこそ、真の部落差別解消は実現すると指摘します。以上で討論を終わります。