緊急事態に関する国会審議等を求める意見書などに反対討論

7月7日村岡県議は自民党提出の意見書案2件に対し、反対討論を行いました。

以下、討論の全文です。

 

日本共産党の村岡正嗣です。党県議団を代表して、議第25号議案「国民の祝日『海の日』の7月20日への固定化を求める意見書」 並びに、議第26号議案「緊急事態に関する国会審議等を求める意見書」(案)に対する反対の討論を行います。

 

はじめに「国民の祝日『海の日』の7月20日への固定化を求める意見書」についてです。

戦前、「海の記念日」を設けたのは、真珠湾攻撃で太平洋戦争を開始した1941年です。戦争のために海運関係者だけでなく、国民こぞって支援の雰囲気をつくる目的で設けられました。そのため時の逓信省管船局は、軍艦でなく汽船「明治丸」で青森・北海道方面を巡行し、7月20日に横浜に帰った明治天皇に着目して、20日を「海の記念日」に決めたのです。こうした日を戦後に引き継いで「国民の祝日」とすることはふさわしいとは言えず、「7月20日」を「海の日」とすることにはわが党は反対しました。しかし、7月の第3月曜日を海の日とする改正法案には賛成しました。それは、連休・3連休の増えることは、労働者にとっての強い要求であるからです。

したがって、7月20日に固定化することには戦前の「海の記念日」に由来することからも、また、連休・三連休を望む労働者の願いに背を向けることからも反対です。

次に「緊急事態条項に関する国会審議を求める意見書」についてです。

本案は、新型コロナウイルス感染症の拡大、自然災害等などを理由にあげ、平時から緊急時への切り替え等に関する関係法規の見直し等についての国会で審議や、国民的な議論を喚起することを求めるものです。

反対の理由の第1は緊急事態条項など中央集権的な法制度は、パンデミックや災害時に必要ないどころか、むしろ現実的な対応を阻害するものだからです。

新型コロナウイルス感染拡大、並びに、東日本大震災などの経験から導かれる教訓は、平時からの備えです。もともとの感染症病床の数が不十分であったこと、保健所の統廃合が進んでいたことから、感染拡大期に機能不全に陥ったことはすでに明白です。災害時も同様で、河川整備や災害弱者対策など平時の備えこそが決定的に重要です。また、東日本大震災のように、市町村の機能が失われた場合も、県が直ちに代行すべきであり、その点からも平時からの自治体職員体制の拡充こそが必要です。

また、災害直後や爆発的パンデミック拡大時には、被災者に一番近い自治体の役割が決定的です。詳しい状況把握も不可能な中央政府に権限を集中させることは、むしろ感染者や被災者の迅速な救援・救護を阻害しかねません。

反対理由の第2は、緊急時への対応の議論は、無制限の人権停止状態を招く憲法改悪につながりかねないからです。自民党は改憲草案の4項目の中には、緊急事態条項を設けています。この「緊急事態」は武力事態も含め法律による認定で、いくらでも解釈の拡大が可能であり、国会に対しては事後報告で、その「緊急事態宣言」の効力が続く限り衆院は解散されないというものです。

憲法停止状態となるような緊急事態措置がすでに政権与党から提起されているときに、国会などの議論を喚起すべきではありません。

憲法の「緊急事態条項」が乱用され、人権を侵害し、言論抑圧につながる危険は、歴史からも明らかです。明治憲法下の1923年の関東大震災の際、戒厳令の一部を緊急勅令によって施行した結果、朝鮮人の虐殺事件が引き起こされました。戦後制定された日本国憲法が「緊急事態条項」を設けなかったのは、こうした痛苦の経験を踏まえたものです。

パンデミックや災害を理由に、それに便乗して憲法に、危険な緊急事態条項を盛り込もうとする画策は認められません。

私たちは歴史の教訓に学び、立憲主義や三権分立、そして人権を尊重する現行法体系の下で、国民の命・暮らしを守る政治の実現をはかることこそ重要である、ということを強調して討論を終わります。

以上