前原かづえ県議の議員提出議案反対討論

埼玉県議会6月定例会の閉会日、前原かづえ県議が議員提出議案に反対の討論を行いました。

以下、討論の全文です。

 

 

日本共産党の前原かづえです。

党県議団を代表して、議第21号議案「災害対策基本法において感染症の拡大を災害と位置付けることを求める意見書案」と議第22号議案「デジタル・ガバメントの着実な推進を求める意見書」に対する反対討論を行います。

 

はじめに議第21号議案についてです。同意見書は、災害基本法において新型コロナウイルス感染症のような感染症の拡大を「災害」と位置付けることを要望するものです。

反対する理由は、感染症の拡大を災害基本法に位置付けることにより、新型コロナ特措法に基づく緊急事態宣言の発出時よりも強い措置を講じることを目的としているからです。

日本共産党は、新型インフルエンザ等特措法改定にあたって、「緊急事態宣言」決定の際に専門家の意見聴取を義務付けていないことや、「外出自粛」や「施設使用制限」の範囲に歯止めがないこと、そして制限がもたらす人権侵害に対する救済措置も経済措置に対する補償も規定していないなどの問題点を指摘し反対しました。

しかし、特措法の問題点は、感染症が災害基本法に位置付けられることによって、解決するものではありません。むしろ、人権侵害への救済措置、経済措置なども不明確なまま、私権制限の禁止だけが強化されることになります。

緊急事態宣言期間中話題になった、自粛要請に関するトラブルの根本原因は、政府の休業補償の不十分さによるものです。今必要なことは、制限措置の強化のための法改定ではなく、持続化給付金など休業への経済支援の拡充を国に求めることだと考えます。また、災害基本法に位置付けることによって、保健衛生行政が災害対策の枠組みの中に組み込まれることは、現場に混乱をもたらすと考えます。

 

続いて議第22号議案についてです。本意見書はデジタル・ガバメントの着実な推進を図るため、マイナンバーカードの健康保険証利用をはじめとしたデジタル化にむけた市区町村への財政的措置などを求めています。党県議団は行政手続きのオンライン化自体に反対するものではありません。反対の理由は、国民が求めていないマイナンバー制度を促進しようとしているからです。

個人情報保護のための国の監督機関「個人情報保護委員会」が6月に公表した年次報告によると、2019年度にマイナンバー付きの個人情報が138機関217件で漏洩したことがわかりました。このうち15件は委託元の行政機関や地方公共団体の許可をえずにマイナンバー付きの個人情報取り扱い業務が再委託されていたケースです。国民は個人情報の漏えいやカードの紛失・盗難への危惧、政府が個人の情報を掌握・管理することについて、強い不安を抱いています。

それにもかかわらず、政府はなりふり構わず、カードの大幅な普及に突き進み、9月からはマイナポイント事業を行おうとしています。特に来年3月からのマイナンバーカードの保険証利用は、医療機関の窓口対応を複雑にし、職員の多忙化に拍車をかけます。また保険証としてカードを持ち歩くことは非常に危険です。

このように問題だらけのマイナンバーカードの普及を推し進めることは、新たな混乱を引き起こし、危険を広げるだけです。

国民が求めていないマイナンバー制度を推進するのでなく、立ち止まって見直す時です。

以上