手話通訳者の加配をー県立大宮ろう学園を視察

ゼロ歳から成人まで支援する、ろう学園

6月6日、前原・秋山もえ県議は埼玉県立大宮ろう学園を視察しました。

桑原智子校長はじめ、白井・中村両教頭、嶋村事務局長らが応対くださいました。

 

 

当学園は、大正12年創立の90年もの歴史のある学校です。

3歳からの幼稚部もあり、ゼロから2歳児の教育相談活動も行っています。乳幼児から高校生までを対象としています。幼稚部から、地元の小学校に進学する、地元の中学校から同校高等部へ戻ってくるなど、出入りも可能です。地元の学校へ進学したのちも訪問するなど、障害児を長期にわたって温かくフォローします。

生徒の作品

 

重複障害児を受け入れ

埼玉県の特徴は、聴覚障害と同時に知的障害や発達障害等重複障害児も受け入れていることです。人口呼吸期装着など医療ケアの必要な子も5名受け入れています。

学校は、総勢で183名。全国4番目のマンモス校です。

 

不足教室はありませんが、児童・生徒数の増加で教材室がすべてなくなり、教材置場にこまっているとのこと。

児童の通学区域は、全県の半分、おおむね荒川以北で、さいたま市・川口市が主です。通学時間は60分以上が36人います。寄宿舎が併設されていて、39人が舎生となっていますが、週1、2日だけなどの児童・生徒もいるそうです。小学校4年生からはいれます。

教員は、手話の習得に努力

教員は、総勢150人です。児童・生徒6名で1学級を基本としています。聴覚障害の教員も15人います。

先生たちは、ろう学校以外の学校にも異動があります。他の学校からはじめてろう学校に赴任した先生は、手話ができません。研修など行いますが、4月にきて、手話による授業が十分できるようになるには12月ぐらいまでかかるといいます。

特に幼稚部や小学校では、多数の先生が異動してしまわないよう、細心の注意が払われています。

 

生徒の作品

授業には普通の教科に加えて、自立活動という時間があります。これは、言語指導や発音練習、障害認識、ろう者の歴史などを学ぶ時間です。

とくに高校3年生になると、部活の後などに特別に発音練習なども行います。

 

高校生の進路は、つくば技術大学や立正大学など大学進学、IHIやSUBARUなどで、「企業には、待っていただいているほど」だそうです。しかし進学や就職をしてからの悩みも多く、まだまだ課題があるそうです。

 

手話通訳士の加配を!

現在学校には、手話通訳士と教員免許を持つ教諭が1名います。単年度加配が原則のため、定数内臨時的任用教員です。

教員にはろうあ者が15名おり、微妙な内容を話し合うには手話通訳者が欠かせません。

現在1人の通訳者は、研修に、授業の補助に、打ち合わせにと大活躍をしていただいていますが、手話通訳者は連続で15分までと労働安全衛生上決まっており、どうしても2名が必要です。

そこで、学校としては手話通訳者2名加配を強く要望しています。

 

現在、会話の内容を、スマホやタブレットの文字に変換するUDトーク(会話の見える化アプリ)が、ほとんどの企業で整備されてきているそうです。

学校としても、PTA会費で年25万円で導入を検討しているそうです。しかし、大宮ろう学園、坂戸ろう学園それぞれで加入すると、それぞれの学校関係者しか使えませんできれば県教育委員会として導入してほしい、そうすれば全県の聴覚障害者が使えるようになるとのことでした。

 

老朽施設の大規模改修、一刻も早く

 

学校は創立90年ですが、校舎は築40年を迎えています。

老朽化が進み、特に集中型の冷暖房設備の不具合に悩んでいるとのこと。

大規模改修が決定されていて、寄宿舎から改修が始まる予定ですが、いつまでにというめどはまだ立っていないそうです。

 

寄宿舎女子トイレのなかにある、洗濯機。こういう状態は早急に改善してあげてほしいと感じます。

 

 

 

 

 

 

全県で2校しかないろう学園

構内には保護者のボランティアもいて、保護者と学校の密接な関係も感じられました。

同校の相談支援センターが、ゼロ歳から行う個別相談は、1人90分かけて、保護者の支援を中心に行います。

「泣き出すお母さんにじっくり泣いてもらってから、話をきく」

という校長先生のお話しが印象的でした。

このようなろう学校が埼玉県にはたった2校。

身近な地域、せめて東西南北の4校あればと強く感じました。