罪刑法定主義は市民の自由を保障するもの―議員提出議案反対討論

12月19日城下のり子県議は意見書案への反対討論を行いました

日本共産党の城下のり子です。党県議団を代表して

議第65号「条例で定めることができる罰金刑の上限の見直しを求める意見書」案、

議第66号「米の検査規格の見直しを求める意見書」案に対する反対の討論を行います。

はじめに

議第65号「条例で定めることができる罰金刑の上限の見直しを求める意見書」案についてです。同意見書案は、条例で定められる罰金刑の上限が100万円であるとして、十分な抑止効果が確保できないとして、罰金刑の上限を見直すよう求めるものです。反対の理由は「罪刑法定主義」の原則から定められている現行の上限を、見直すだけの理由が示されていないことです。

罪刑法定主義は、憲法31条にもとづき犯罪をあらかじめ法律において明示することによって国家権力を抑制し、法律に明示されていない事柄については自由であるとして、市民の自由を保障するものです。刑罰を規定した法は、本来国会において制定されるべきとしたうえで、例外として、国が地方公共団体に条例の制定並びに罰則において委任ができるとしています。

法曹界ではそもそも、この委任について異論があります。

国境と比べて、自治体の境は認識困難であること、法律に比べて条例の条文が多くの市民にあらかじめ認識されることは困難であること、越境通勤通学者の多い地域の場合、条例制定に関与できない他地域住民が昼間の時間多数存在すること、自治体に内閣法制局や議会法制局のような体制がないことなどが異論の根拠です。

条例への委任そのものにこれだけの異論がある以上、罰金刑上限引き上げを求めるなら、現行の罰金刑ではどのような不都合があったのか、具体的な立法事実を示すべきです。

本意見書案においては、法律において「5億円、1億円等と規定するものがある」という比較が示されているのみであり、条例委任の範囲を拡大する根拠とはなりえません。

続いて議第66号「米の検査規格の見直しを求める意見書」案についてです。同意見書案は地球温暖化により発生しやすくなっている米の白未熟粒があっても食味に変わりがないとして、コメの検査規格において、白未熟粒の発生によって下位等級とされてしまう基準を見直すよう求めるものです。

賛成できない理由は、この要望主旨について、関係者の中でも意見はわかれており、慎重に検討していくべきだからです。白未熟粒は食味は変わらないとされていますが、精米の際に重量が減ってしまうという特徴もあります。流通関係者・販売関係者の意見をよく聞く必要があります。この問題については慎重に対処すべきです。

以上です。