50メートルプール利用料金引き上げ反対ー知事提出議案に反対討論

3月27日、定例会の閉会日に伊藤はつみ県議は、当初予算を除く知事提出議案に対する反対討論を行いました。

 

討論(要旨)は以下の通りです。

 

日本共産党の伊藤初美です。党県議団を代表して

第46号議案「特定事業契約の締結について」

第49号議案「首都高速道路株式会社の埼玉県道高速葛飾川口線等に関する事業の変更の同意について」

第51号議案「埼玉県地域保健医療計画の策定について」

に、対する反対討論を行います。

まず、第46号議案「特定事業契約の締結について」です。

本議案は埼玉県屋内50メートル水泳場整備運営事業をPFI方式で整備し、さいたまプールPFIサービス会社と契約を締結するものです。

反対する理由の第1は、物価高騰や実質賃金の低下の中で県民生活が苦しい状況に置かれる中、利用料金上限を大幅に引き上げたことです。

本事業以前に地元に愛されていた、北スポーツセンタープールの個人利用料金は一般250円、中・高校生140円、児童80円でした。これが一般520円 高校生以下320円と、小学生は4倍に跳ね上がります。グループ利用では、北スポーツセンターは2時間8,250円でしたが、27,000円に、3.2倍となってしまいます。国際競技は常時行われているわけではありません。県民とくに子育て世代は安価で気軽に楽しめるプールを望んでいます。

第2は、同事業を、建築から維持管理運営まで民間企業にゆだねるPFI方式で整備するからです。PFI契約は一般的に長期に渡り、本事業も18年間で210億円もの契約となります。

民間資金の活用などともてはやされたPFIも、先行事例はかならずしも成功ばかりではなく、内閣府がどれほど普及に努力しても、思うように広がっていません。

PFIのリスクは様々ありますが、特に事業収益が上がらない場合の、事業者の破たん・撤退のケースが心配です。失敗事例として福岡県の温水プール「タラソ福岡」などが挙げられます。当然、その責任は行政が追う結果となりました。近年水泳国際大会は必ずしも集客に成功していません。昨年福岡市で行われた世界水泳大会の場合、集客数は見込みの半分、市負担は見込みの3倍の130億円となりました。国際競技用プールのPFIには多大なリスクが存在します。一方で、従来型建設ではなにが問題なのか、十分な説明がありませんでした。

また、PFI事業には、膨大な書類やモニタリング手続きが必要とされ、コンサルタント会社への委託が不可欠です。本事業では三菱総研と、令和4年度から8年度まで5年間、1億1792万円で契約します。

したがって、長期に渡り民間企業に建設・維持・管理までをゆだねてしまい、コンサルタント企業に巨額の委託費の生じるPFIによる整備は認められません。

次に第49号議案「首都高速道路株式会社の埼玉県道高速葛飾川口線等に関する事業の変更の同意について」です。

本議案は2014年に実施した点検により、新たに更新が必要な個所が判明し、約3000億円の事業費が必要となったことから、その財源を確保するため、2065年9月30日までだった料金徴収期間を8.5年延長するものです。

反対の理由は老朽化による大規模修繕は必要ですが、その費用は利用者負担ではなく、新規建設を抑制するなどの対策を講じて捻出すべきだからです。

料金徴収期間の延長は2014年に15年延長し、今回2回目の延長です。そもそも大規模改修などの費用は当然予想されるものであるはずで、これではいつまでも有料期間が延長されることになります。しかも昨年5月の国会での高速道路の料金徴収期限の改定の議論の中で、大規模改修事業だけでなく新規建設事業も含まれていたことが明らかになっています。新規建設事業は利用者だけに負担を押しつけるべきではありません。これでは県民の理解は到底得られません。

 

最後に、第51号議案「埼玉県地域保健医療計画の策定について」です。

反対理由の第1は、第4部「地域医療構想」で、高度急性期病床や急性期病床を過剰として、他病床に転換を進めているからです。

同計画では、2025年度の必要病床数について高度急性期1179床、急性期6164床を過剰として、国の補助によって回復期・慢性期に誘導しています。急性期と回復期・慢性期では、看護師の配置数が大きく異なります。病床が転換されれば、看護師の配置数が減らされていきます。新型コロナ感染症蔓延期には、コロナ病床つまり急性期への移行が急激に行われ、現場は看護師不足で大混乱をいたしました。そのさなかにも、急性期病床から慢性期病床への転換が行われていたのです。第7期に続いて、第8期計画にもこの構想が掲げられていることは、新型コロナの教訓を生かしておらず、計画自体に盛り込まれた「新たな感染症への対策」にも矛盾するものです。必要病床数は国のガイドラインに沿った計算式で導かれており、本来は県独自の現場の実態に見合った必要病床数を算定すべきです。第2に、第5部「医療従事者の確保」には様々な対策が盛り込まれていますが、根本的対策であり、本県議会決議にもあがっている県立大学への医学部設置が盛り込まれていません。

以上申し上げ反対討論とします。