柳下礼子県議一般質問③「医療的ケア児と家族支援は国と自治体の責務」

10月1日、柳下礼子県議は、本会議一般質問に立ち、医療的ケア児の保護者負担軽減、保育所・放課後児童クラブの保育士や支援員の処遇改善について取り上げました。

医ケア児への支援が国と自治体の責務に

2021年6月「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が成立し、これまで努力義務にとどまっていた支援策が国と地方自治体の「責務」となりました。人工呼吸器や胃ろうなど医療的なケアを必要とする障害児は、周産期医療の発達の中で命を救われ、少子化社会においても10年間で1・4倍化しています。ケアには看護師資格が必要であり、支援施設への看護師配置の遅れから、介助はすべて家族任せ、多くは母親のみの負担となってきました。

「24時間みることに疲れました」

所沢市の時々酸素を使う気管狭窄のお子さんは、重度知的障害・難聴を重複していますが、歩行は可能です。柳下県議はそのお母さんからの手紙を紹介。「娘が生まれて13年間、1歳半から預け先を探しましたが『動ける医療的ケア児は大変』と断られ続け2時間半以上は預かってもらえません。毎日ほんの少し目を離しただけで、何かしてしまう娘を24時間みることに疲れました。夜は寝て、食事は座って食べて、具合が悪ければ病院へ行かせてください。普通のお母さんが、産後1年もたつと職場復帰していくのに、私は当たり前のように今まで積み上げてきた仕事を捨て、無資格で命をまもり交代もなく、やめることもできません。私たちにも働く環境をください」柳下県議は知事にこの手紙への受け止めを質問したうえで、医ケア児の実数や症状の調査・把握を求めました。

再質問で「直接話を聞いてほしい」と要請

大野元裕知事は「医療的ケア児を抱えるご家族は、昼夜の別なく常時在宅で介護を余儀なくされ、その負担は極めて重いものと受け止めている」として「市町村はもとより医療機関、保健所、特別支援学校、医ケア児の家族会など関係する機関に協力していただき実態調査に着手したい」と答えました。柳下県議は再質問で、手紙のような保護者と直接会って話を聞いてほしいと迫り、知事は「私としても適切な場においてご家族の方のみならず必要なお話について直接お伺いしたい」と応じました。

特別支援学校での母親の授業付き添い負担軽減へ

特別支援学校では、時々酸素が必要な医ケア児の場合、授業中に母親が教室で付き添わなければなりません。母親に代わって訪問看護師の代理人の付き添いが学校で認められてきていますが、手続きに非常に時間がかかります。柳下県議は、手続きの迅速化をもとめるとともに訪問看護費用の補助制度創設を求めました。教育長は「特別支援学校への代理人の付き添いについて少しでも保護者負担軽減につながるよう手続きの迅速化に向けて検討する。」と答弁しました。また知事は「助成制度創設というより学校に看護師の配置するなどの措置を講じていくことが最優先事項」と述べ「教育局では看護師資格を有した職員の配置や教員の喀痰研修を実施している」と答弁しました。

医療的ケア児についての法改正を受けて、9月定例会では柳下県議を含め4人の県議がこの問題を取り上げています。施策の推進が求められます。

保育士・支援員は保育の専門家・エッセンシャルワーカー

柳下県議は、地元の保育所や放課後児童クラブの保育士や支援員のコロナ禍でのご苦労や低賃金を紹介し、知事の認識を質問、処遇改善を求めました。これに対し知事は「保育士や支援員は保育の専門家として社会をささえるエッセンシャルワーカーであると認識している」として、国に対し処遇改善を働きかけていると答えました。特に都内と比べ埼玉県内都市の保育士の給与が低くなる仕組みについて、知事自らが政府に改善を働きかけていると強調しました。