移民・難民の命を守り、医療機関の負担とならない制度へー保険未加入外国人の医療費問題で懇談

埼玉県内のある医療機関から外国人の保険未加入による医療費未払い・滞納問題についての相談があり、村岡正嗣県議、秋山文和県議が、医療機関と懇談しました。

ある医療機関は「医療保険未加入の外国人の医療費が未払いとなり、医療機関の経営に影響を及ぼしている。保険未加入と知っていても、医療機関としては目の前で苦しんでいる患者さんがいるのに『治療しません』とは言えません。透析やがんなど命にかかわる方もいます。とても知らないふりはできません。しかし、医療費は高額になり、なかなか回収できず、経営に影響をおよぼしているのです」と訴えます。

 

【なぜ医療保険未加入となるか】

外国人がなぜ医療保険に未加入となるのか。それは在留資格の有無が関係します。日本人配偶者をもつ方や技能実習生、留学生などは在留資格があります。在留資格があれば、医療保険への加入が可能です。

母国での紛争や迫害、人権侵害などから逃げてきた人が難民申請をし、難民と認定されれば、医療保険や就労、生活保障などを受けられますが、認定されなければ就労さえも認められず、不法滞在ということで最悪は母国に強制送還されます。母国に強制送還されるまでの間、原則、入管施設に収容されます。(入管施設でスリランカ人のウィシュマさんが適切な医療を受けられず亡くなるという事件も起きています)入管施設に収容されても、外国人側からの請求や入国管理局の職権によって仮放免される場合があります。しかし仮放免では就労も医療保険への加入もできません。こうした難民申請中の方や仮放免の方が医療保険未加入となり、医療にかかると莫大な医療費がかかってしまい、未払いとなってしまうのです。

 

【日本の難民認定はわずか0.4%】

難民支援協会によると2018年に難民申請をした方は10493人。難民認定されたのは42人。わずか0.4%にすぎません。

しかし実際には10代のころ親族が目の前で殺害され、それで日本に逃れてきたが、難民認定されず、現在仮放免中という方やイスラムの国でキリスト教徒であったことから迫害を受け、日本の逃れてきたが、難民に認定されず、現在仮放免中という方が仮放免中ということで病院にかかっても医療保険に入れないため、高額の医療費を支払えない状態になっています。

「ある医療機関では未払い医療費が1000万を超える額となっている」との話も聞きました。

外国人の未払い医療費問題の根底には紛争や様々な人権侵害、迫害などから身を守るためにやむを得ず自国を離れ、日本にやってきたにもかかわらず、難民認定されるのはそのうちのごく一部で、圧倒的には認定が受けられず、不法滞在とされているという問題があります。

国の厳しい難民認定制度を改め、難民認定を広げる必要があります。

 

【県としてできることは】

県には「外国人未払い医療費対策事業」というものがあります。

この事業は「外国人救急患者の医療機関の未回収金を、県と市町村が協力して補填することにより、医療機関の負担を軽減し、救急医療体制の円滑な運営を図ること」が目的です。

しかし補助を行う条件として「救急車等により搬入された外国人患者の医療費で、(医療機関が)回収努力をしたにもかかわらず、1年以上を経過した未払い医療費」「未払い医療費が10万円を超えるもの」など定められており、当てはまらない。当てはまっても1年以上経過しないと補助してもらえないなどなかなか使える制度となってないことから、医療機関の経営に影響を及ぼしているのです。

県としては国に根本的解決を迫りつつ、「外国人未払い医療費対策事業」の条件を緩和し、医療機関の経営に影響を及ぼさないよう補助金を出すことが求められています。