「ここは美術館ですか?」西川材の飯能商工会議所建物視察

 

「ここは美術館ですか」そうまちがえる方もいらっしゃるそうです。

2020年に建て替えた飯能商工会議所は、ウッドデザイン賞受賞の建物です。

1月24日、県産材とりわけ西川材をふんだんに取り入れたこの建物を

県産材活用支援の観点から視察しました。

柳下礼子団長、村岡正嗣県議、前原かづえ県議が参加しました。

ご対応くださったのは、浅見国昭事務局長です。ありがとうございました。

*西川材  埼玉県の南西部、荒川支流の入間川・高麗川・越辺川の流域の木材をよびます。

関東大震災時、戦後には復興の中心として使用され、産地は隆盛をきわめたとのこと

 

↑組子格子体力壁というそうです。

美術品なのか、耐震のはすかいなのか?

光や風を通す欄間の趣ながら、構造体という・・・

製造までのすべての過程で、雨にぬれないよう細心の注意がはらわれたそう。

節の少ない滑らかな西川材には雨のしみ一つ許さない!という気合ですね。

縦に伸びる長い柱。かなりの樹齢のひのきですが、

正式注文をしてからでは、乾燥がまにあわない

と、いうことで、発注のずっと前から、製材所では乾燥を始めてくれたそうです。

信頼関係と西川材への愛があるからこその計らいですね。

 

↑CLT平衡弦トラス????

厚さ3.6センチの西川材ひのきのCLT板が複雑に組み合う天井

これによって、執務室の壁や柱を極力減らすことができました。

CLTとは、Cross Laminated Timber(JASでは直交集成板)の略称で、ひき板(ラミナ)を並べた後、繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料です。

一言でいうと、もっのすごく強靭なベニヤ板??

新しい国立競技場などにも使用され、CLTの開発によって、

木造の高層建築が実現できたとのことです。

素晴らしい木造建物をつくっても、地元の大工さんが作れないようなものでは困る

ラミナをならべた構造は、このコンセプトから生まれたそうです。

 

 

↑CLT折版床・壁

西川材の杉のCLT版は厚さ7.2センチと9センチ

これを柱や、はりとして使うことで、

8メートルかける18メートルの大会議室が実現しました。

 

建て替えが実現するまで

昭和39年の旧建物は耐震性に問題があり

建て替え検討委員会を立ち上げ 移転か建て替えかを検討しました。

長い歴史のある商店街の一角。市民に愛されてきた歴史からも移転はありえず、

この場での建て替えとなりました。

また、地元西川材活用も、大前提でした。

プロポーザル形式で設計事業者を募り、40社の中から「野沢正光建築工房」が選ばれました。

 

気になる財源は?

建築総額は4億円超。大半は寄付金と積み立て金でした。

公的支援は、林野庁「CLT活用建築物等実証事業」活用で、5700万円だったそうです。

国の支援をうけると、県や市の支援は重複できない仕組みなので

自治体からは補助を受けていません。

一方、CLTは、加工できる工場が少なく

ここのCLTも岡山県の銘建工業株式会社に頼みました。

往復の輸送費がかかるため、その分費用がかかりました。

 

CLTで林業再生を

党県議団は、東日本大震災後、岩手県住田町を視察し、

木材の仮設住宅など、林業振興について取り上げました。

また平成28年には高知県も視察し

CLT建築の調査も行い、県議会で村岡県議がCLT活用を提案しました。

当時は、岡山の銘建工業の周辺でしかCLT建築物は見られなかったことを思うと

関東、とりわけ埼玉県にもCLT建築が広がってきたことに感慨をおぼえます。

当時、東日本にCLT製材所をつくりたいと、党県議団一同誓ったところですが

さらに前進していきたいと思います。