県立病院の独立行政法人化は中止を 金子一般質問③

12月10日金子まさえ県議は本会議一般質問を行い、県立病院の独法化問題などを取り上げました。

 

地方独立行政法人とは

11月に「埼玉県立病院の在り方に関する検討報告書」が公表されました。報告は、県立4病院の経営形態は地方独立行政法人が望ましいとしています。地方独立行政法人法によると「地方独立行政法人」とは、「地方公共団体が自ら主体となって直接に実施する必要のないもの」のうち、条件を満たしたものとされています。つまり、独法化される事業は、地方公共団体が直接実施する必要がないと判断されたものです。しかし、この検討報告を読む限り、県立病院を直接実施することを否定した記述は全くみられず、むしろ、今後県立病院は全県を対象とした高度専門医療を提供していくべきと、県が実施する必要性を再確認しています。

 

県立病院へ引き続き適切な繰り入れを入れる

金子県議は、「県立病院は県が直接実施すべき事業ではないか」と質問。病院持病管理者は「地方独立行政法人は県の政策目標を実現させるための機関」「県が100%出資して設立する公設公営の経営形態であり、直営ではないものの『県立』であることに変わりはない」と答弁しました。「仮に県立病院が地方独立行政法人になっても、繰り入れの総務省基準は現在の地方公営企業と変わらず、引き続き適切な繰り入れを入れることが必要」だとも答弁しました。

 

非公務員化は人材不足招く

金子県議は、独法化でスタッフを非公務員化すれば人材不足を招くのではと質問。病院事業管理者は「職員定数に縛られず、人事委員会の選考もないため必要な人材を必要なところに迅速に採用・配置することができる。これによりスタッフの労務環境はよくなり、好循環を生み出すためさらに人員の確保がしやすくなる」と答えました。先行して独法化を進めた大阪府では、医師の給与を引き上げる一方で、看護師の給与を引き下げ、看護師不足を招きました。「県立」であることに変わりがないのであれば、公営企業の形態を変える必要はありません。金子県議は、同時に都立病院独法化を検討していた東京都が、結論を先送りしたことを示し、慎重に検討することを求めました。病院事業管理者は、県民アンケートなども踏まえて引き続き慎重に検討し、今年度中に県として方向性を定めると答えました。

 

小児科人材供給、県北部の救急医療を支える

先の「検討報告書」は、県立小児医療センターについての小児科専門医の育成・人材供給に取り組むべきとの提案や、県北部地域の救急医療を支えるため、循環器呼吸器病センターの脳血管診療体制を強化すべきなどと提案をしています。

これは、党の柳下県議が、6月一般質問で県立病院に対して提案したものです。このような公益的な事業を行うためには、県が責任をもって推進していくべきです。県立4病院は県が直接運営すべきです。

 

医学生への給付制奨学金枠拡充を

10万人あたりの本県医師数は、全国最低です。一方本県の高齢化は加速しており、医師確保の必要性は高まるばかりです。

この間創設された医学生向け奨学金は、すでに埼玉県の病院に医師を31人送り出し、さらに215人の学生が奨学金で学んでいるというように、着々と効果をしめしつつあります。地域枠医学生奨学金は27人の募集枠に対して応募者は68人。医学部入学前に選抜する県外医学生奨学金は17人の募集枠に対して応募者は172人です。金子県議は、この奨学金の枠拡充を求めました。保健医療部長は「貸与枠について、研究していく」と答弁しました。