コロナ禍で追いつめられる女性たち

2020年世界中で猛威をふるい続けている新型コロナウィルス。
コロナ禍ではさまざまな問題が浮き彫りになりつつありますが、とりわけ深刻なのが、女性たちが追いつめられている現状です。

感染拡大の中、経済状況が悪化し困窮したり、DVを受ける女性が増加、ひいては女性の自殺者が急増していることは見過ごすことができません。

まず一番に女性を苦境に追いつめているのはやはり雇用の面といえます。
緊急事態宣言が出た4月の雇用者数は言うまでもなく男女とも激減しましたが、中でも減少幅が大きいのは女性です。男性32万人減に対し、女性はその2倍以上、74万人減。雇用形態別では、非正規雇用労働者の減少が顕著に示されました。これらは、女性の非正規の就業者が多い観光・宿泊・飲食業などが大打撃を受けたことの影響です。

7月の状況を見ると、男性の就業者数が増加している一方、女性の就業者数は変わることなく減少を続けています。これは、男性の就業者を求める運送業などでの就業者数が増加する一方、「宿泊,飲食業」「生活,娯楽業」「卸売,小売業」「医療,福祉」といった、女性の非正規雇用労働者の割合が高い業種が圧迫を受け続けていることが主原因と考えられます。

そもそも業種を問わず女性は男性に比べて非正規雇用労働者の割合が高く、このことは完全失業者数にも表れており、男性は2020年5月まで増加した数値がその後は減少に転じる一方、女性は2020年4月以降ずっと増加傾向にあることからも分かります。

雇用面では、共働き家庭の女性はもとより、シングルマザー家庭が困窮に追い込まれている現状を読み取ることができます。

対女性問題の悪化で更に居場所を失う女性たち

労働に従事していない女性についても、苦しい状況が続いています。子育てや介護などの負担、家族の失業などを発端にしたコロナうつを訴える例が多数あり、経済的にも精神的にも追い込まれているのが現状です。

更に、先の内閣府研究会の提言は、外出自粛がDVや虐待につながっている実態の一端を浮き彫りにしています。5~6月のDVの相談件数は前年同月比の約1.6倍で、4~9月の性犯罪・性暴力の相談件数も前年同期比の約1.2倍です。

これらの状況の中最も見過ごすことができない点は、「女性の自殺者の急増」です。厚生労働省によれば、10月の女性の自殺者は852人と前年同月比で8割も増加しています。更にこの数値は、同時期の男性の増加率(約2割)を大きく上回ります。40代では実に2倍以上も増え、30代も9割以上増加しました。

東京都医師会は10月の記者会見で、女性自殺者の増加要因として、生活苦や経済的不安が高まる一方で自粛を強いられる中対面での交流機会を失い、悩みを抱え込むことになっている状況、また在宅勤務や休校で家族が常に在宅している状況から、食事の用意をはじめ家事の負担が急増したり、自分の居場所がなくなったりして、女性が精神的に追い込まれていることを挙げています。

女性の命を守るため、単に従来の施策の延長にとどまらない相談体制を確立したり、シェルターを整備することが今強く求められています。

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