談話 6月定例会を振り返って

閉会後知事があいさつに

7月7日、埼玉県議会は閉会し、柳下礼子団長が談話を公表しました。

談話全文は以下のとおりです。記者発表

 

 

一、本定例会では、3本の令和4年度埼玉県一般会計補正予算をはじめ、26件の知事提出議案と、埼玉県性の多様性を尊重した社会づくり条例など12件の議員提出議案が可決・同意・承認されました。党県議団は、自民党提出の部落差別解消条例はじめ3本の議員提出議案に反対しました。

一、提出された補正予算第1号と第2号には原油価格・物価高騰の影響を受ける県民や事業者への支援として、約27億5千万円が計上されました。ひとり親家庭への特別給付や学校給食の保護者への支援、県内地域公共交通事業者や県内観光関連事業者への支援は当然のものと考えます。党県議団は、さらに県内医療機関への原油価格高騰の影響が非常に重いことを一般質問で指摘し、医療機関への支援も求めました。

補正予算第3号は、6月2日3日県北・東部の降ひょうによって損失を受けた農業者に対して、被害作物の生育回復等の費用を補助する市町村を支援するものです。党県議団はこれらを評価するとともに一般質問や委員会質疑で、作物の全滅で収入を失った農業者の生活への支援を求めました。また、農業共済制度が被害をカバーするものになっていないことから、その改善を求めました。

一、自民党提出の「埼玉県性の多様性を尊重した社会づくり条例」に対して、同条例案には目的として「人権が尊重される社会の実現」が掲げられ「差別的取り扱い等の禁止」「パートナーシップ・ファミリーシップに関する制度整備」の文言が盛り込まれていることから、党県議団は賛成しました。しかし、今なお悩み苦しんでいる当事者からは、事業者の責務や財政上の措置が努力義務になっている点や、パートナーシップ・ファミリーシップ制度の整備が「その他の理解増進制度」と並列されている点などに不安の声があげられています。 1年後、3年後などに必ず見直しを行うべきと考えます。

一、自民党提出の「埼玉県部落差別の解消の推進に関する条例」については部落問題解決の歴史に逆行して、部落差別を固定化、永久化しかねないとして反対しました。条例案は「部落」についても、「部落差別」についても明確な定義を行わないなど、部落解放同盟の解釈が行政に押し付けられる余地を残しています。一部団体による、脅しにもとづく不公正な同和行政による特権と利権は、かえって差別を助長するものです。また第9条の「実態把握」は旧同和地区住民の洗い出し、精密調査や行き過ぎた意識調査によって、それ自体が国民の内心の自由を侵害し、分け隔てなく地域で生活する旧住民とそうでない者との間に新たな壁を作り出す強い危険性があります。このような理由から条例案に反対しました。

一、6月24日秋山もえ県議が一般質問に立ち、コロナ対策・降ひょう被害支援対策のほかに、気候危機対策・性犯罪被害者支援・手話言語条例の推進・県営住宅縮小問題・加齢性難聴者の補聴器助成・県立高校の校則問題などについて1問1答方式で取り上げました。

党県議団は気候危機対策について、知事に「ゼロカーボン宣言」を求めてきました。まだ宣言していない県はあと5県として宣言を迫る秋山県議に対し、知事は「裏付けがなければ意味を欠く」として、宣言は県の計画策定後の今年度末以降と答弁しました。

性犯罪被害者支援について、SANE(性暴力被害者支援看護職)の養成の継続をもとめ、県民生活部長は継続的養成の必要性を認めました。

県営住宅について、県は世帯数減に伴う戸数の縮小方針を示しています。秋山県議は、本県の公営住宅率は全国最低で、県営住宅率だけなら全国36位だとして、せめて、全国平均の1.5%以上、つまり現在の2倍の戸数は、必要だと増設を求めました。

秋山県議は、県立高校88校で「地毛証明」提出をもとめていることについて、人権侵害だとして廃止を要求し、教育長は「昨年9月に通知を発出し、地毛証明の扱いについて積極的な点検・見直しを指示した」「校長会など通じて各学校に指示する」と答弁しました。

一、県民より提出された「国に『消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)中止の意見書』提出を求める請願」は共産党と民主フォーラム以外の反対により不採択とされました。

審査の行われた総務県民委員会では、党県議が「小規模事業者、農業者などこれまでの消費税免税業者が課税業者となることを強要される」として採択を求めたのに対して、自民党は経過措置が十分とられているなどを理由に不採択を主張しました。

また「国に対し『一定の期間を定めて、消費税をゼロ%にする意見書』提出を求める請願」は、共産党と県民会議の賛成少数により不採択とされました。審査の行われた総務県民委員会では、2020年3月の埼玉県議会で「消費税は一定の期間を定めて軽減税率を0%にすることを求める」趣旨の意見書が賛成多数で採択されていることから、党県議が採択を求めたのに対して、自民党は「新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急経済対策を求めたのであり、消費税ゼロ%のみを求めたわけではない」と発言しました。

党県議団は請願の本会議討論を求めましたが、「討論する特段の理由がない」として認められませんでした。