大分視察②傷ついた子どもたちが自分のことをわかろうとしてくれる大人がいるんだと思えるように

「埼玉県でおきた児童養護施設での虐待問題をどう解決するのか。そのカギは子ども意見を聞く、県でも児童養護施設の職員でもない第3者が必要ではないか」という問題意識から大分県が行っているアドボケイトの取り組みを学び、埼玉でも取り組みたいと考え、11月15日、秋山文和県議、守屋裕子県議は大分県福祉保健部こども・家庭支援課と大分大学の教授、アドボケイトの方のお話を聞きました。

2016年の児童福祉法の改正で子どもが権利の主体として初めて位置づけられ、子どもの「意見が尊重され」ることなどが書き込まれました。2017年、厚生労働省の検討会がまとめた「新しい社会的養育ビジョン」では、子どもの意見表明権や参画を支える柱としてアドボカシーを明記しました。

2019年6月成立の改正児童福祉法は付則で施行後2年をめどに、意見を聴く機会の確保や支援の仕組みを検討するとし、国の調査研究事業が始まりました。

大分県はこうした動きを受け、制度が浸透するのは数年かかることを想定して早めに取り組みをはじめ、2020年、大分大学で養成講座を行い、10名、2021年は30名のアドボケイトを養成しました。

大分大学の教授は「最初の半年はとにかく地ならし。アドボケイトを受け入れる児童養護施設や一時保護所の職員が、言われたからしょうがなく受け入れた、やらされているという状況では、子どもはその大人の顔色を窺い、本音を話してはくれない。職員に必要性を理解してもらわないといけないので、繰り返し議論し、疑問には何でも答えてきた。とにかく滑走路は長くとること」と話されていました。

現在、大分県では一時保護所1カ所、児童養護施設2カ所、里親約10家庭で行われており、今後すべての児童養護施設、里親家庭で行っていけるようにしていくとのことでした。

アドボケイトの方が「話したくないことは話さなくていい。話してくれたことは本人の了解なく、他の人には絶対に話さない。子どもが話したくなる関係づくりが大事」「ある子どもは『自分はここ(一時保護所)にこれて安心した』と言ってくれた」「子どもが自分のことをわかろうとしてくれる大人がたくさんいるんだと思うこと自体が大事。だからアドボカシーの活動で施設を訪れて、ただ子どもたちと遊ぶだけでも意味がある」「あなたは幸せになる権利があるんだと示すことが大事」などのお話をしてくれたことが印象に残りました。

大分県は大分大学と協力して子どもがアドボケイトについて理解できるように年齢にあわせて解説する冊子や紙芝居を作っていました。

また子どもたちが思い立ったときに意見を表明できるよう、平日の9時から17時の時間に限られますが、アドボケイトにつながる携帯番号が書かれたカードも子どもたちに渡しています。

今後は、「24時間、できればLINEなどを活用して気軽にできるようなシステムを作りたい」と話していました。

お話を伺って、虐待を受け、傷ついた子どもが、「自分を受けとめようとしてくれる大人がちゃんといるんだ」と思えることは非常に大事だと思います。埼玉では残念ながらそうなってない部分があると思います。埼玉の子どもたちもそう思えるようにしていかなければならないと思いました。