2050ゼロカーボンへ!気候非常事態宣言の長野県視察

11月16日、村岡県議と秋山もえ県議は長野県庁を訪問し、長野県の気候非常事態宣言についてヒアリングをしました。

長野県は2019年、気候非常事態宣言を行いゼロカーボン宣言を発表しました。なぜ、宣言を行ったかとの質問に対しては

この年の台風19号によって千曲川などの氾濫による深刻な被害状況をあげていました。

知事の強いイニシアチブとともに、議会側の全会派一致の決議も後押しとなりました。

長野県議会は先月20年10月には、「脱炭素社会づくり条例」を議会の全会派参加の調査会で1年間の議論の上、成立させています。

 

長野県気候非常事態宣言は目標を明示!

1、二酸化炭素排出量を2050年度までに実質ゼロにします。

2、最終エネルギー消費を7割削減し、再生可能エネルギー生産量を3倍以上に拡大します。

3、県のあらゆる政策に気候変動対策の観点を取り入れ、県民とのパートナーシップで施策を推進します。

4、エネルギー自立地域を確立するため、地域主導による再生可能エネルギー事業を推進します。

5、G20関係閣僚会合における「長野宣言」を踏まえ、国内外の地方政府や非政府組織、NPO等と連携・協力し、世界の脱炭素化に貢献します。

6、我が国の気候変動対策をリードする「気候危機突破プロジェクト」を推進します。

というどれも、国際水準のものです。

 

長野県の特徴 デカップリング(環境と経済の両立)

長野県の先進性として、強調されたのは経済成長とエネ消費量の分離=デカップリングといいますが

これは、県内総生産は右肩あがり、県の温室効果ガスは右肩さがりで、その差がひろがっていくような状況が望ましいという考え方です。

実際、長野県の2006年から2016年の数字を見ていると、見事にデカップリングが実現しています。

 

バックキャストにより、県民の協力を引き出す

長野県は2050年での二酸化炭素排出量ゼロという目標をすえ、2010年1581万の排出量、2030年までに1030万とすると宣言しています。

再生可能エネルギーも3倍化も掲げていません。

埼玉県は、2050年にゼロにするという目標は掲げていません。「とても無理です」という職員さんもいます。

再生可能エネルギーも推進目標はありません。

その点を長野県職員さんに質問してみました。

長野県はバックキャストという考えかたをもっています、とのお話でした。

バックキャストは、できるかできないかという目標の立て方をしません。

必要性から目標をはっきり示し、そこから知恵もわいてくるという発想方法です。

そして、県民には「ゼロシナリオ」で2050の姿をわかりやすく示しています。

例えば、・歩いて楽しめる街・自動車はすべてEV FCV・新築住宅は高断熱・高気密などです。

こうした姿勢の方が、県民の協力も引き出せるとのことでした。

 

長野県の具体的施策は

●環境エネルギー配慮された建築物の普及促進 戸建て住宅を含むすべての建築物(新築時)に環境エネルギー性能(断熱など)と自然エネルギー設備導入検討を建築主に義務付け

リフォーム助成制度もあります。(工事費の20%、最大50万円)実績は2013から2019までで1297件です。

●事業活動温暖化対策計画書制度による事業者の省エネ促進  これは埼玉県でもやっています。

●信州屋根ソーラーポテンシャルマップ 建物の屋根ごとに年間の日射量を計算して、太陽光発電や太陽熱利用の適合度をWEB上に表示

●収益納付型補助金制度によるFIT事業支援  これは補助ですが、融資ではあり、「自然災害等、発電事業者の責に帰さない事由で事業継続が不可能となった際、返還が免除となります。

補助実績は2014年からの実績は33件 2億8670万円に上ります。 特にFIT事業に対して、補助金制度も活用し、あるべき発電事業を県が示すというのは重要なとりくみです。もちろん、メガソーラーには補助しません。

 

市町村の協力を引き出す

最後に長野県にまなべることは

県内自治体への影響です。長野県が非常事態宣言を行うことで

県内7市町村が自ら「気候非常事態宣言」を行い、

長野県非常事態宣言に賛同するのはすべての市町村となっています。

現在全市町村を対象に、気候変動をテーマに環境カレッジをひらき

「講座を開きたい市民団体」と「学びたい市民」を結び付けています。