埼玉県の臨時的任用教員の退職手当が未払いとなっていた問題で、柳下礼子団長は以下のような談話を発表しました。
2020年2月3日
日本共産党埼玉県議会議員団
団長 柳下礼子
臨時的任用教員の退職手当未払いについて
県教育局は29日、2015年以降に退職した臨時的任用教員9730人に対して支払われた退職手当の算定方法に誤りがあり、退職手当の一部が未払いになっていたと発表した。未払いになっていたのは、14年度の条例改正で基本額に上乗せされるとされた「調整額」であり、総額26億円あまりとなる。
14年度の条例改正では、それまで勤続年数が「5年以上24年以下のもの」に調整額を支給するとされた文言が削除され、1年契約の臨時的任用教員にも調整額を支払うこととなったが、県教委はそれを見落としたという。条例の改正内容は、この点と調整金額変更の2点に過ぎない。なぜ、自ら提出した条例改正の意義が把握されなかったのか、理解に苦しむ。県教委は県議会に条例案を提出した際の試算にすら、改正内容を反映していなかったという。看過できないずさんさであり、改めて詳細な原因究明を求めるものである。
退職手当は5年に遡って全員に追加支給されるとのことである。すべての対象者に対する早急な支給を求める。
また26億円もの補正となるが、退職手当に対する国費補助が今からでも可能なのかは不明である。早急にこの点も明確にすべきである。
そもそも、26億円という膨大な金額の背景には、教員総数の1割強が臨時的任用という埼玉県の非正規頼みの教育体制の問題がある。教員の3割が臨任で占められている学校もある。そのため臨任教員は1年契約でありながら、クラス担任をもち、契約を繰り返し長期勤続となっている方も少なくない。一方で不安定な身分に置かれ、採用年齢や退職年齢上限、年休繰り越しなど常勤職員との間に差別があり、「臨任教員の会」などの要請で、一歩一歩差別が是正されてきた。退職手当については、臨任教員は、毎年支給されているため、そもそも常勤より低くならざるをえない。その上「調整額」も支給されないという差別が、2014年の改正で是正されたにも関わらず、県教委はそのことに「気が付かなかった」という。臨任教員だのみの体制でありながら、臨任教員の差別待遇への驚くべき無関心さである。
党県議団は従来より、臨任教員への差別をなくすことと処遇改善を求めるとともに、定数内教員は常勤を原則とし、やむをえない場合のみに限定するよう求めてきた。改めて、臨任制度の見直しを強く求めるものである。
以上