お金の心配なく学びたいーゆきとどいた教育の実現をもとめる

 

県内から集まった請願署名97055筆の前で柳下県議

11月28日、教職員組合、保護者、生徒、地域の方でつくる「ゆきとどいた教育をすすめる教育埼玉署名実行委員会」による県要請行動(集会)が県庁内で行われ、日本共産党埼玉県議団からは紹介議員として柳下礼子県議が出席しました。

第一部の集会会場には県内から集められた請願署名97055筆が積まれ、同席した県教育局と県知事部局に対し教育予算、私学助成の大幅増額をもとめる要請を行いました。

参加者の教職員、保護者、生徒の代表が次々に発言し、私立校に通っている女子高校生は「公立志望だったけど落ちてしまって私立に通っている。母は学費を稼ぐために残業を増やした。小学校の弟は毎日独りで留守番させて申し訳なく思っている。経済的な理由で進路を変えたり諦めたりした子もたくさんいる。どの子もお金の心配なく学べる環境をつくって欲しい」と訴えました。

柳下県議は「公立でも私立でも学びたい学校でお金の心配なく学べる教育環境を力を合わせてつくっていこう」と挨拶しました。

集会後、参加者は県庁から浦和駅までパレードをしてアピールしました。

 

 

 

 

2017年11月10日

埼玉県知事上田清司様

ゆきとどいた教育をすすめる教育埼玉署名実行委員会

埼玉県教職員組合中央執行委員長    北村 純一

埼玉県高等学校教職員組合   新島 善弘

埼玉県私立学校教職員組合連合中央執行委員長   櫻井 昭吾

私学をよくする埼玉父母教職員懇談会代表委員   小林 淳子

 

すべての子どもたちにゆきとどいた教育をすすめるための要望書

 日頃より、子どもたちの成長とよりよい教育の発展のためにご尽力されていることに敬意を表します。

私たちは、「どの子にもゆきとどいた教育を」、「教育条件の抜本的な整備・充実を」、「私学に対する公的助成の増額を」など、子ども・父母・教職員・県民の切実な願いを掲げ、すでに28年にわたって「ゆきとどいた教育をすすめる請願署名」にとりくんできました。

未来を担う子どもたちの成長・発達を支える教育を充実させるためには、教職員が父母・地域住民の付託に応え、子どもたちの教育に責任に負う立場として、自らが毎日の仕事に努力を傾けることはもちろんですが、同時に教育予算を大幅に増やし教育条件を抜本的に整備・充実することが必要です。とりわけ35人以下学級を、公立・私立を問わずすべての学校・学年において実施することは、子どもを持つ父母・保護者をはじめとする多くの県民の強い願いとなっています。

こうした声を背景に、2011年に政府は小学校1年生を35人学級とし、2012年度からは法改正はおこなわなかったものの、小学校2年生について36人以上の学級を解消する加配を行いました。にもかかわらず、文科省はこれ以降の少人数学級計画については「時期尚早」として概算要求にすら盛りこみませんでした。文科省は、2011年からの3年間にわたってすすめてきた少人数学級推進の政策に立ち返るべきです。

政府は2014年度からいわゆる「高校無償化」を廃止して所得制限を設け、「就学支援金」受給を申請しなかったり、申請を受理されなかった生徒から授業料が徴収されています。このことは、2012年9月に日本政府が国連に対して留保撤回を通告した「国際人権A規約13条」の高等教育までの無償化を漸進的に導入するという規定にも反する政策で、断じて認められません。また、「就学支援金」制度は証明書準備などが生徒・保護者に大きな負担となり、それが受給漏れにつながる事例も報告されています。さらに、県教委や学校の事務量の増大から教職員の負担増になっています。

現状の高校教育においては教材費や修学旅行費用など、授業料以外にもさまざまな負担があり、授業料不徴収でも安心して学校に通えない生徒がいるというのが実態です。

私学においては、今年の入学生から直接助成がさらに拡大され、年収609万円未満の家庭まで事実上授業料無償が実現しました。しかし、私学に通う高校生の多くが、いまなお高い学費等の負担に悩み続けています。また、私学の教育水準の維持向上のため学校に対する運営費助成を現在の全国最下位から国基準まで引き上げることが必要です。

私たちは引き続き公私を問わず、父母負担の軽減、さらには教育費の無償化を求めていきます。

県内の特別支援学校における学校(教室)不足もすさまじい現状です。特に県東南部地域の過密状態はすでに限界を超えており、2021年4月に戸田翔陽高校の敷地内に新校が開校するのを待ってはいられません。まさに障害児学校の過密解消は、待ったなしの状況です。

「35人以下学級の実現」、「教職員定数改善」、「私学助成の大幅増額」、「『高校無償化』の復活」、「教育費の父母負担軽減」などを求めて、今年も「すべての子どもにゆきとどいた教育をすすめるための請願署名」にとりくんでいます。この署名に寄せられた願いを実現するために、下記の事項について誠実に検討され、具体化していただくよう要請いたします。

1.ゆきとどいた教育をすすめるために、教育予算を大幅に増額してください。

2.公立・私立を問わず、すべての小・中・高校で、早期に35人以下学級を実現してください。

3.子どもと向き合える時間を確保するために、教職員を増員してください。

4.教育費の父母負担を軽減してください。貧困と格差から子どもと教育を守り、すべての子どもたちの就学・修学を保障してください。

①高校生に対する「就学援助制度」創設と「奨学のための給付金」の受給要件拡大を国に要望するとともに、当面は「埼玉県高等学校等奨学金」に給付金を導入してください。また、現在奨学金の貸与を受けている方や返還中の方も対象にして、返還時の負担を緩和する「所得連動制」の導入や返還猶予事由の拡大など、制度改善をさらにすすめてください。

②教育活動に不可欠な教材費、給食費などの学校給付金を無償にしてください。

③すべての希望者に高校教育を保障してください。そのために高校統廃合はしないで下さい。さらに、修学・教育条件の格差を可能な限り小さくして下さい。

5.「社会全体であなたの学びを支えます」(文科省作成リーフレット-2010年)の理念を堅持し、「高校無償化」を復活するよう国に対して要請して下さい。

6.私学助成を大幅に増額するとともに、制度を改善してください。

①私学に通わせる保護者の学費負担をさらに軽減してください。

②運営費補助金の生徒一人あたりの単価が、国基準を上回るように増額してください。

③学費の直接助成の給付時期を早めてください。

7.障害児教育の充実をはかる予算措置を講じてください。

①障害児学校の教室(学校)不足を抜本的に解消するため、計画的に学校建設をすすめるとともに、特に深刻な状況にある学校については緊急に対策を講じてください。

②障害児学校の「設置基準」をつくるよう国に働きかけてください。

③障害児学級・通級指導教室を充実する施策をすすめてください。

④発達障害の子どもたちのための支援策を早急に整備してください。

以上