意見書への反対討論

10月14日、9月定例会の閉会日、秋山もえ県議は、以下のような討論を行いました。

 

日本共産党の秋山もえです。

党県議団を代表して議員提出議案、議第28号議案「地方自治体のデジタル化の着実な推進を求める意見書案」、議第29号議案「別居・離婚後の親子の断絶を防止する法整備等を求める意見書案」、議第30号議案「自転車ヘルメットの着用の義務化に関する法整備を求める意見書案」に対する反対討論を行います。

はじめに議第28号議案は、地方自治体のデジタル化の着実な推進を図るために、対面・押印が義務付けられている行政手続きのオンライン化やマイナンバーカードの更新手続きのオンライン申請の実現、情報システムのクラウド活用促進などの支援を国に求めるものです。地方自治体のデジタル化を促進する「デジタル促進法」成立の際に、党国会議員団は、第1に、障害者や高齢者など情報弱者へのサービスが後退する懸念、第2に自治体クラウド促進によって、システムに対し行政の仕事内容をあわせる状態が進行し、地域の実情に合わせて多様であるべき自治体行政サービスの画一化が進むことへの懸念、第3に情報漏洩など重大な危険性のあるマイナンバーカードが、セキュリティ対策置き去りに普及促進される危険性などを理由に、反対しました。

同意見書案は、このようなデジタル化におけるリスクの側面を一切かえりみることなく、自治体デジタル化に突き進むものであり賛成できません。

次に、議第29号議案についてです。同意見書案は、子どもが両親から愛情と養育を受け続けることは子どもの最善の利益に資することとなるとして、別居・離婚による親子関係の断絶状態を解消及び防止するための施策を国に対して求めているものです。反対の理由は、日本の家庭をめぐる状況の複雑化を踏まえ、慎重に検討すべきと考えるからです。

離婚により、実子との面会が一切認められなくなったなどの問題の解決が急がれることは当然です。しかし、日本のDV被害相談件数は平成30年度は11万5千件と、12年間で倍化。児童相談所に寄せられる児童虐待相談件数も、平成30年度16万件とこちらは4年間で倍化しています。このような家庭事情の複雑化の中で、離婚後の親子交流については多様なケースが存在し、簡単にルール化することは困難です。特にDVに苦しむ被害者の離婚ケース、実父母による児童虐待が行われているケースについては、慎重な検討が必要です。現在政府研究チームによって、検討が進められています。十分な議論も踏まえないまま、養育計画の作成などが制度化されることは、DV被害者などの救済を妨げ、結果としてその子どもたちの幸せをも阻害することになりかねません。国の研究チームの議論を注視すべきと考えます。したがって同意見書案に反対するものです。

最後に議第30号議案についてです。本意見書案は自転車乗車時の事故による被害の軽減を図るため、すべての国民に自転車ヘルメットの着用義務化を求めています。反対の理由は、全国民への着用義務化は、多大な財政措置や周知のための期間を必要とし、実施するには時期尚早と考えます。ヘルメットを低所得者が購入する費用への助成、ヘルメットを自転車のどの部分に収納するのかなど研究課題が山積しています。まず、課題整理と研究が必要です。

そして根本的解決のためには歩道と車道の分離や歩道上の自転車と人の通行分離、自転車専用道路などの整備促進が必要であり、自転車運転者へは広報・啓発、マナーなどの周知徹底を方針とすべきです。

以上です。