PCR検査体制強化など新型コロナ対策本部が申し入れ

4月21日、日本共産党埼玉県委員会の新型コロナウイルス対策本部は「外出自粛・休業要請と一体の補償、検査体制強化と医療現場への本格的財政支援を」という大野知事あての要望書を副知事に提出しました。柳下礼子、前原かづえ、秋山もえ県議が参加しました。

特に、感染拡大抑制のため4月8日から5月6日までの間、7割以上を休業した中小企業および、個人事業主の方への県独自の支援金について、「今から休業しても7割に満たない」という声を紹介し、改善を求めました。

また知事の記者会見に手話通訳者をただちにつけるよう要望しました。

新型コロナウイルス対策本部申し入れ

 

要望の全文は以下の通り

 

新型コロナウイルス感染症対策に関する要望事項

2020年4月20日

日本共産党埼玉県議団

団長 柳下 礼子

 

1.PCR検査体制を抜本的に改善・強化するとともに医療機関への財政支援を強化する。

①感染経路の分からない感染者が多数になり、クラスターを追跡する従来の検査方法は限界に達している。従って、医師が必要と判断したら、「帰国者・接触者相談センター」を介さずとも速やかにPCR検査が受けられるシステムの再構築が求められます。具体的には、医療機関の協力も得てPCRセンターや発熱外来を少なくとも40カ所以上(帰国者・接触者外来40カ所に加えて)設置すること。その際、PCR検査と合わせてIgM・IgG抗体検査も積極的に導入すること。また、ドライブスルー方式による検査なども積極的に導入すること。

②現在の26人の応援体制(1カ所2人)では保健所が疲弊してしまう。感染対策の第一線を担う保健所機能を強化するため、部局横断的な職員の増員、職員OBの活用などの方法で人員を大幅に補強すること。

③重症者・中等症患者を受け入れる感染症病床数は75床から225床に引き上げられたが、コロナ対応に相応しい医療体制の構築にむけて医療従事経験のある退職者を臨時スタッフとして確保できるよう必要な財政支援を行うこと。コロナ対策を専門とするコロナ特別病棟設置を急ぐこと。

④軽症者や無症状者のための宿泊療養施設を確保するため、アパホテルの223床を借り上げたが、一刻も早く(少なくとも二次医療圏に一か所以上)ホテルの借り上げを増やし、病院などからの移送を促進すること。自宅療養については極力避けること。

⑤ 不足している医療用マスク、フェイスシールド、防護服、消毒液、人工呼吸器などの確保のため県内の産業界や企業に協力を要請するなどあらゆる手を尽くすこと。

⑥県が独自に調達したマスクの配布にあたっては、重篤化の可能性が高い透析患者などに重点的に配布されることになっているが、実際には1人当たり2枚程度の配布にとどまっており、より多く行き渡るよう対策を講ずること。

 

2.介護・福祉施設での感染防止と損失に対する支援の強化をはかる

①マスクや消毒液、衛生材料などが不足している介護・福祉事業所に対して,安定供給ができるよう速やかに対策を講ずること。特に自治体や企業が保有する備蓄品については優先して提供するよう関係機関に要請すること。

②利用者の減少による事業所の収益減に対して県独自で最大限の補償措置を講ずること。

③介護事業所の感染症対策の必要経費を補償し、感染防止に最善をつくすこと。

 

3.県の自粛・休業要請で損失を受けた事業者には、県の責任で補償を行うこと。

①埼玉県教委は、3月に全県の県立学校や小中学校の休校要請を行い、その際に給食を禁止している。そのために、全県の給食用食材納入農業者や給食事業者は3月と4月に大幅な減収となった。この損失を県の責任で補償すること。

②県の指示で県有施設のほとんどが閉鎖されている。その多くが指定管理者に運営を任せているが、利用料金収入の比率が高い事業者は、利用料金収入が失われ苦しい経営状態におかれている。従って県として利用料損失分を補てんするなどの措置を講ずること。

 

4.外出自粛・休業要請などで損失を受けている中小業者や個人事業者に対する支援を強める

①外出自粛・休業要請などで収入が減少しても負担が求められる家賃や地代、リース料などの固定的経費の負担を軽減するための緊急対策を実施すること。

②被用者だけでなく個人事業主や専従者、フリーランスも傷病手当金の支給対象にするため国民健康保険条例及び後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療に関する条例を改正するよう市町村に働きかけること。

③県の経営安定資金(コロナ対応)・経営あんしん資金の必要書類は事業税の納税証明書だけになっているが、銀行によっては消費税の納税証明書を要求する場合があるので、県として金融機関を徹底指導すること。

④県内中小業者への支援金について

過日公表された埼玉県中小企業者支援金は、対象企業の条件として4月8日から5月6日までの間、7割以上休業するものとしている。これは最低で21日間の休業であり、5月6日から逆算すると、4月16日からすでに休業していなければ日数不足で対象とならない。そのため、休業を決断したくとも出来ない業者が多発する。そもそも支援金についての情報が届いていない。4月8日まで遡及することは大事だが、5月の大型連休を目前にして感染症拡大抑制のためには、多くの事業者の休業協力が不可欠である。よって、7割以上の条件はつけず、今後、休業協力するすべての県内中小企業を対象とするよう強く要望する。

 

5. DV子ども虐待などの相談体制の拡充などにジェンダーの視点で取り組む

①外出自粛要請によって、DV(ドメスティックバイオレンス)や子どもの虐待が増える傾向にある。DVや虐待に対する相談窓口やワンストップ支援センターなどの相談・支援体制を緊急に拡充し、緊急避難先=シェルター(ホテル・公共施設など)を確保すること。

②子どもを虐待から守るため,教育と児童相談所の連携強化をはかること。

③就学援助について、前年度利用者には「みなし」認定し、迅速に支給できるようにすること。

④学校休業中の教職員については、通勤中や職員室内での感染を防止するため自宅勤務を認めるよう学校当局や各市町村教育委員会に対して指導を徹底すること。

 

6.知事の記者会見に手話通訳者を配置する

聴覚障害者団体などが,知事の記者会見に手話通訳者の配置を再三要望するも,県が「年間3000万円の費用がかかる」などとしてこれを拒否してきたため、「聞こえない人は後回しなのか」などと県内だけでなく県外からも厳しい批判が寄せられている。手話言語条例をもつ県として恥ずべきことである。手話を主言語とする人の中には文字の読解が苦手の人もおり、集団感染等の緊急事態にあって、手話通訳の有無は命を左右する問題である。当初に緊急事態宣言が発令された7都府県でも本県以外すべて補正予算を待たず手話通訳を配置している。よって、直ちに手話通訳を配置できるよう手立てを講ずること。

 

7.リストラ解雇や「派遣切り」を許さず、雇用を守る

①県内の経済団体や大企業に雇用責任を果たすよう求めるとともに、特別融資の要件として、雇用の維持を明記すること。

②リーマンショック時のような「派遣切り」を二度と繰り返さないよう県内の経済界や企業に万全の対策を要請すること。

 

8.学生への支援を県の対策に位置づける

①休校や校内立ち入り禁止期間中の県立大学の学費(授業料)を、県が補填して返還するなど学生への支援策を進めること。

②アルバイト収入の激減など生活に困難を抱えながらも、1人暮らしをせざるを得ない県立大学の学生に県独自の生活支援給付金を支給する。

 

9.補正予算を組み、新型コロナウイルス感染症の感染防止のための財源を確保する

①県新年度予算の歳出について精査し、不急の事業を先送りするなどして感染症防止対策に予算を重点的に投入すること。

②予備費や財政調整基金、県債管理基金等の基金を大幅に取り崩し、感染症防止対策に投入するとともに、国に対して必要な予算措置を求めること。