市民の暮らしに寄り添った税金の徴収ー滋賀県野洲市長と懇談

7月18日、埼玉県議団5人揃って、滋賀県野洲市に視察に行って来ました。

今年2月定例会予算特別委員会で、金子正江県議が質問した、税金の滞納対策「野洲市のようこそ滞納していただきました条例」について、市長と直接懇談したい、との思いが実現したものです。

「ようこそ滞納していただきました条例」に感銘

野洲市は、一昨年4月から「野洲市債権管理条例」を実施。これがいわゆる「ようこそ滞納していただきまた条例」で、滞納は、生活困窮者からのシグナルと捉え、自治体上げて生活再建の手助けをしているのです。金子議員は、予算特別委員会の中で、「こうした野洲市の精神を、埼玉でも取り入れるべき」と質問してきました。

懇談に応じてくれた山仲善彰市長は、「注目を集めるためにやっているのではなく、市民に寄り添った市政をすすめてきた。本来、当たり前のこと。税の滞納をきっかけに市民一人ひとりが抱える困難が見えてくる。様々な社会資源を活用して、その方の困難を解決するまで支援するのが行政の役割だ」と語ってくれました。

懇談には、野洲市がこうした市民に寄り添った施策を始めるきっかけとなった市民生活相談課の課長補佐も、同席してくれました。

 

市役所内で就労支援も

また、2013年に締結された、野洲市と滋賀労働局が生活困窮者等を対象とした就労支援事業を一体的に実施するための協定に基づいて、就労支援と生活支援を一体的に実施するために市役所内に、市民の就職をサポートする「やすワーク」が設置されています。

ここでは、生活再建のために、単なるお仕事紹介ではなく、スーツや靴などの貸し出しや、履歴書の書き方、面接の練習、面接先までの経路の確認、就労先との打ち合わせなど、きめ細かな就労支援も行っています。

 

 

 

 

「国保滞納者に対する市からのアンケートに、『死にたい』と返送してきた高齢の女性。市職員が訪ねると、40代の息子さんと二人暮らしだが、息子さんの働く会社がブラック企業。一生懸命働いても手取りで14万円前後。お母さんは社会保険の被扶養者にしてもらえないため、国保に加入していたが、30万円ほどの滞納で、資格証明書が発行されていた、ということが判明。就労支援で、息子さんがきちんとした会社に転職が決まり、お母さんも扶養家族になり、滞納していた国保税も分納で納めることが出来て、大変感謝された」こんなケースもありました、と課長補佐が話してくれました。

先進的な取り組みが注目され、全国からの視察が相次ぐ野洲市。とことん市民の暮らしに寄り添う市政は、首長の意識と、職員どうしの連携が何より重要、と実感した視察でした。