埼玉県議会6月定例会を振り返って

7月5日、埼玉県議会6月定例会は閉会しました。

柳下礼子団長は、「6月定例会を振り返って」とする談話を公表しました。

6件の知事提出議案に反対

6月定例会は、埼玉県手数料条例の一部を改正する条例など知事提出の議案が12件、意見書・決議をはじめとする議員提出議案が8件提出された。党県議団は、消費税増税を前提に手数料や県有施設の料金を引き上げる条例や、消費税増税で落ち込みが予想される景気への対策である条例など6件に反対した。日銀短観も2期連続で景況感悪化が続いており、消費税増税は、今からでも中止すべきである。

2件の議員提出議案への反対の理由は

自民党提出の「熊谷市上之地内における農地転用許可等に関する決議」案は、昨年度9月定例会で発足した議会百条委員会における審査結果に基づき「本件農地転用許可処分は、本来許可されるものではない」と埼玉県に「適切な判断」を求めるとともに、「熊谷市の態度は行政として全く不誠実であり、しっかり事実誤認を認め、事実に基づいてしかるべき対応を取るべきことを強く求め」るとするものである。本事件は、第1種農地の転用が認められたというまれなケースであり、その経過には百条委員会の報告書の指摘するとおり、多種の問題点が散見される。しかし、まず行うべきことは、東北地方整備局山形河川国道事務所の収用証明書を撤回し、事実を明記した収用証明を出し直した上で、このようなずさんな事務が行われた経緯を説明するよう国に求めることこそ必要だとして賛成しなかった。

埼玉県・クイーンズランド州姉妹提携35周年行事への親善訪問団を派遣については、約1200万円もの予算が計上されている。これでは厳しい生活を強いられている県民の納得は得られないとして、親善行事への参加は、議長・副議長など最小限とすべきと考え、反対した。

政務活動費のインターネット公開検討会立ち上げを歓迎

閉会日に「政務活動費のインターネット公開検討会」が開かれ、党県議団からは村岡正嗣県議が出席した。党県議団は6月10日に、議長はじめ全会派に、前年度まで繰り返し継続審査とされてきた政務活動費のインターネット公開を求める請願に応えるべきだとして、議会改革の協議の場を設けるよう申し入れている。また、6月17日の各会派代表者会議で「政務活動費のインターネット公開など議会改革のための検討会を立ち上げるべき」と柳下礼子団長が提起している。検討会が実現したことは歓迎する。

秋山もえ県議、初の一般質問

党県議団を代表して秋山もえ県議が初の一般質問を行った。五月連休中に県内各地でひょうが降り、梨などに被害をもたらしたことを取り上げ、防ひょうネット補助の復活や梨ワインや梨カレーなどを紹介して梨の販売支援を求めた。知事は「先頭に立ってしっかり支援する」と答弁した。

また、県教委に対し県立飯能南高校、児玉高校の廃止計画の撤回を求めた。廃止計画が明らかになるとともに地元市議会から反発する決議があがり、飯能市長・教育長は連名で「本市との具体的な協議や調整等の一切の手順を怠った」「一方的かつ強行に押しすすめる当局の対応は極めて遺憾である」との意見書を県教委に提出している。秋山県議は、地元に対して説明と猛省を教育長に求めた。教育長は「丁寧に対応してきた」と地元の実感と程遠い答弁を行った。

また、米軍は横田基地の外周道路工事に伴い発生する土砂を、所沢通信基地に搬入している問題も取り上げた。一日平均100台以上にのぼるダンプカーが走行し、土砂の汚染の可能性も指摘されている。県条例では、県職員の堆積現場への立ち入り、土砂の調査結果報告等が定められているが、米軍はこれを無視しているとして、秋山県議は知事に対し、国内法を適用除外とする日米地位協定の見直しを求めるよう要求し、知事は「米軍の基地内に国内法令が適用されないことは問題であると思っている」と答弁した。

県庁舎建替え等検討特別委員会設置

6月27日議会運営委員会において、自民党から「県庁舎建替え等検討特別委員会」の設置が提案された。秋山文和委員は、「あと13年で築80年を迎える県庁舎の建て替えについての検討は必要であるが、あまりに唐突な提起であり、まずは関連常任委員会である総務県民委員会で耐震化などの経過の報告を受け、議論すべきだ」として反対した。同特別委員会は、自・公の賛成で設置が可決され、党県議団からは村岡正嗣県議が委員として第1回委員会に出席した。委員会の場で村岡県議は、「委員会の結論は全会一致となるよう最大限の努力をすべき」「さまざまな専門家から意見・提言をきく機会をつくる必要がある」「拙速に視察を行うべきではない」とする3つの提案を行った。

請願の本会議討論を認めよ

県民より、「住民から提出された請願を本会議で審議することを求める請願」が提出され党県議団が紹介議員となった。しかし議会運営委員会で「請願は委員会付託され、本会議で委員長報告への質疑が認められている」として、党以外の会派によって不採択とされた。党県議団は、この請願の採択をもとめる討論を本会議で行うよう申し出たが、認められなかった。多くの市町村議会では本会議における請願審査を行っており、請願討論すら認めない埼玉県議会の姿勢は、県民の請願権を軽視するものである。今後も改善を求めていく。

地元への情報提供問題について

県教委の高校統廃合計画案について、2日後の県教委をまたず党県議団が地元市議に提供したことを問題視して、議会運営委員会の場で田村琢己委員が「公表前の情報を外部に漏らすことは議員としてあるまじき姿」だとして共産党に対し強く抗議した。秋山文和県議は「抗議についてはあたらないが、情報の取り扱いについて今後慎重を期すよう会派内に徹底する」と発言した。

 

以上