12月定例会を振り返って(団長談話)

記者発表

2015年12月22日

日本共産党埼玉県議会議員団

                          団長 柳下礼子

県議会12月定例会を振り返って

 一、自民党の数を頼んだ暴走と他会派の共同の強化

今定例会の最大の特徴は、予算特別委員会の制度改変にみられる自民党の道理なき暴走である。議会日程半ばの12月8日の議会運営委員会で提案された、予算特別委員会の改革案は、知事に直接質疑ができる総括質疑の日程を現行の3日から1日に減らし、各常任委員会で実施していた部局別調査をなくして予算特別委員会に一元化するものである。14日の議員運営委員会で各会派が見直し案について初めて議論したが、第1回の協議は20分あまりにすぎず、2回目の協議でもまとまらないまま委員長の職権で採決を強行し、自民党、公明党の賛成で可決した。共産党、民主党、県民会議は採決に加わらず退席した。22日には、県民会議・民主・共産・改革の4会派の本会議での討論要求も認めず、自民党は採決を強行した。

議運採決に先立ち村岡県議は反対理由として①現行と比べ、執行部の最高責任者たる知事の答弁の機会を極端に減らすものであること②現行の常任委員会での部門別調査では所属するすべての議員が所管の予算について質疑意見を述べることができるが、その機会が奪われる。加えて、少数会派への時間制約も問題である③予算特別委員会発足後12年間、議運という公式の場で見直しの発議もなく、いまここで大幅見直しをする必要性も緊急性もないことを指摘した。

本定例会の一般質問において、自民党は一部の県議を除いて答弁者に知事を指名しなかった。議会運営委員会と一般質問における一連の知事の答弁機会を失わせる策動は、なんの道理もなく、とうてい県民の理解を得られるものではない。

自民党が道理のない暴走を加速する一方、他会派の共同が強化されたのが、本定例会の特徴である。14日の議運採決強行後、県民、民主、共産、改革の4会派はただちに記者会見を行い、自民党の採決強行に抗議声明を発表した。また22日の本会議での可決後には、やはり4会派で「本会議で討論を認めない事に関する抗議声明」を発表した。また同日4会派は、県議会に費用弁償等の議会改革を幅広く検討するための特別委員会を設置するよう、議長に申し入れた。

一、まち・ひと・しごと創生総合戦略案の継続審査について

まち・ひと・しごと創生法にもとづき県が策定するとされた「埼玉県まち・ひと・しごと創生総合戦略」について、特別委員会で5日間にわたり閉会中審査を行ってきたが、「今定例会の日程では、議案の審査に必要な時間が十分にとれないことから継続審査とすべき」との動議が自民党から提出され、自公の賛成で可決された。この戦略は、保育所整備や特別養護老人ホームの整備目標などに不十分さはあるが、交付金の執行などにもかかわることから党県議団は直ちに可決すべきだとして、継続審査に反対した。

一、本定例会で成立した議案と党県議団の態度

本定例会において知事提出議案64件、議員提出議案9件が可決・認定・同意され1件が継続とされたが、党県議団は知事提出の5件と議員提出の2件に反対した。

特に埼玉県平和資料館の「指定管理者の選定について」の議案について、党県議団は日本の平和な未来を保障する公益的な教育活動は、民間事業者にゆだねるべきではなく、直営運営として館長をおき、第3者機関の意見を尊重しつつ運営されるべきだと主張し、同議案に反対とした。平成26年度の決算については、重度心身障害者医療費助成制度の年齢差別や八ッ場ダムの支出などから認定に反対した。

自民党提出の「公営企業の事業範囲の見直しを求める決議」について、予算審議の段階で「県北・秩父地域整備事業」に反対しており、事業内容の見直しを求める同決議に賛成した。

一、前原県議の初の一般質問

12月9日前原かづえ県議が初めての一般質問を行った。前原県議は、TPPからの撤退を求め、県として影響額を早急に試算すること、重度心身障害者医療費助成制度の年齢制限を撤廃することなど要求した。また、大規模商業施設の林立の中で商店街をはじめ地域が崩壊しており、県として商店街支援に全力を挙げるべきだとした前原県議に対して、知事は「問題意識は前原県議とかわりません」と共通の認識を示した。

一、県民の請願のほとんどが不採択に

県民より提出された請願は「安全保障関連法の成立過程について誠実で丁寧な説明と再審議を求める請願」「ゆきとどいた教育をすすめるための請願」「若者も高齢者も安心できる年金制度の実現を求める請願」など8件が審査されたが、1件を除いて多数で不採択とされた。本会議討論も1件も認められなかった。

一、党県議団を批判した福永信之県議の一般質問について

12月9日の一般質問において、公明党の福永信之県議が突如として、党県議団の秋山文和県議の『平和安全法制』は、『戦争法案』そのもの」などの6月定例会での発言をとりあげ批判した。そのうえで知事に対し「平和安全法制は『戦争するための法律』であると考えるか」などと質問した。これに対して、上田知事は「政府はこのような点について国民の理解を得られるよう引き続き丁寧な説明をお願いしたい」と答弁した。

また、16日に行われた文教委員会の場でも、福永県議は、春日部市の公立中学校のホームルームで赤旗が使用されたことを取り上げて特定の政治イデオロギーを植え付けるような教育を行うべきではない」と質問した。これに対して村岡県議は「事実をきちんと調査すべきだ」と主張し、教育局は「今回の事案を精査」すると答弁した。なお文部科学省の通達「学校における補助教材の適正な取り扱いについて」は、政党機関紙の使用を禁止するものではなく「特定の政党や宗派に偏った思想、題材によっているなど不公正な立場のものでないよう十分留意すること」とある。

          以上