前原かづえ県議一般質問答弁要旨

12月9日に前原かづえ県議が行った本会議一般質問と答弁の全文です。
(これは、党県議団が作成したものです。)

1 埼玉農業を壊滅させるTPPは撤退しかない

【前原県議】

日本共産党の前原かづえです。憲法を暮らしに生かす立場から8項目質問いたします。

はじめに「埼玉農業を壊滅させるTPPは撤退しかない」についてです。

政府は10月5日、環太平洋連携協定(TPP)が「大筋合意」したと発表しました。日本語にすべて翻訳されていない中でも、日本のとんでもない譲歩ぶりが際立ったものとなっています。日本の全品目9,018品目の関税撤廃率は95%にも及び、農林水産物の81%は関税撤廃でまさに総自由化ともいえるものです。「大筋合意」で農産物重要5品目、コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖は、586品目のうち約3割の関税が撤廃されます。

コメについては、米国・豪州産米の特別輸入枠7・84万トンを受け入れ、ミニマム・アクセス米の枠で米国産米の輸入を6万トン増やします。

また牛肉・豚肉の関税を実質的にゼロに近い水準にまで引き下げます。埼玉県内農家からは「埼玉の養豚業はどうなるのか」「稲作は守れるのか」と不安の声が寄せられております。 県は平成25年4月、TPPによる本県農産物生産への影響額を433億2千万円と試算しました。まず、今回の大筋合意にもとづき埼玉農業にTPPが与える影響についてお答えください。私は、国の指示待ちではなく早期に影響額を明らかにすべきと考えますが、2点農林部長ご答弁下さい。

国会決議は、農産物重要5品目について関税の撤廃や削減も行わない「除外」を求め、これが満たされない場合は交渉からの撤退を明記しています。今回の「大筋合意」は決議違反です。また自民党は、平成24年の総選挙で、「ウソつかない TPP断固反対 ぶれない自民党」と訴えました。しかし平成25年に安倍首相は交渉参加を表明し、これまで「譲歩」が報道されても「一切決まっていない」としらを切り通してきました。公約を無視し、交渉経過を秘密にして国民に痛みだけを押し付ける、こんなやり方は絶対に許せません。

埼玉県議会は昨年2月定例会において「TPP交渉に関する決議の遵守を求める意見書」を採択しております。意見書は“国会決議を必ず遵守すること”“国民への情報開示を徹底し、丁寧な説明により理解を得ること”を求めるものでした。今回の、農業を壊滅させる大筋合意は、国会決議も、県議会の決議も無視するものと考えますが、知事の見解を求めます。

TPPは関税だけでなく食の安全、医療、保険、雇用など国民生活全般や地域経済にかかわるルールが変更されます。企業が国・自治体に損害賠償を求め訴えを起こすことができるISDS条項は、国家主権を侵害しかねません。条約ですから、これから協定の正式文書の作成、署名、各国議会の批准が必要です。米大統領候補として有力なヒラリークリントン氏は反対を表明しています。アメリカ、日本のいずれかが批准しなければ条約は発効しません。JA全国農協中央会は、「大筋合意は、まだ運動の通過点に過ぎず、今後行われる国会批准に向け、我が国の食料・農業・農村を守るべく、引き続き運動を展開していく」と表明しています。

国民にとって百害あって一利なしのTPP交渉は撤退しかないと考えますが、知事の見解を求めます。

 

【知事】

前原かづえ議員の質問に順次お答え申し上げます。

まず、「埼玉農業を壊滅させるTPPは撤退しかない」のお尋ねのうち、国会決議も、県会の決議も無視した大筋合意についてでございます。

今回のTPP交渉の大筋合意に対し、コメなどの重要5品目についての国会決議は守られていないという農業団体からの声は聞いております。国は次期通常国会で十分に説明されるものだと思います。また、TPP大筋合意を踏まえ、マイナス面をしっかりとカバーする政策を講じていただきたい、このように思います。TPP合意の如何にかかわらず、これからの農業には稼ぐ力が必要だと思います。このため県では担い手の経営強化、消費者が求める品種の育成、農業の6次産業化やブランド化などに積極的に取り組んでいます。

次に、国民にとって百害あって一利なしのTPP交渉は撤退しかないについてでございます。経済のグローバル化が潮流となっている中で、TPPという新しい経済秩序に参加していくことは必要と考えています。

TPPにより、世界のGDPの約4割、人口8億人という巨大市場が創出されます。

モノの関税の削減・撤廃だけではなく、小売・流通業の海外出店規制の緩和などサービス・投資の自由化や、知的財産、電子商取引の規律など幅広い分野で新しいルールが構築されます。例えば、県内に多くある自動車関連部品メーカーでは、海外に工場を出さなくとも、輸出によりシェアを拡大することも可能になります。

また、お茶、せんべい、化粧品などの海外輸出時の関税も引き下げられます。

こうしたTPPによる得られるメリットを最大化して、特にデメリットを国の責任において最小化するよう、国内の様々な分野で構造改革を進め、我が国の成長につなげていくべきではないかと思っております。

 

【前原県議再質問】

TPPの対応への決意が不明なので、再度、知事の見解を伺います。

【知事】

前原かづえ議員の再質問にお答えします。

基本的には、日本という国は、大きな市場から排除されていくというようなことは避けなくてはいけないということが一つであります。そして政府は一貫して、守るべきものは守ると言ってきました。ただ、農業団体などから、必ずしもそうでないという意見があるということが言われております。

そうでないとすれば、どのような形でカバーをするのかということが、きちっとこれから国会の議論の中でなされていくべきだと思いますし、私自身も、もし守れてないとすれば、きちっとそれをカバーすべきものだと申し上げたところでございます。

 

【農林部長】

御質問1「埼玉農業を壊滅させるTPPは撤退しかない」についてお答えを申し上げます。

初めに埼玉農業にTPPが与える影響についてでございます。

今回、TPP大筋合意では米のように段階的に輸入枠が拡大するものや、豚肉や牛肉のように時間をかけて関税が引き下がるものもあり、本県農業への影響が懸念されるところです。このため、国に対し、国内農業への影響を最小限にとどめる万全な対策を講ずるよう働きかけていくとともに、県としても6次産業化など収益力の高い農業の確立に向け、必要な対策に取り組んでまいります。

次に、国の指示待ちではなく早期に影響額を明らかにすべきではないかについてでございます。 議員お話の433億2千万円の試算額は、関税を即時撤廃、追加の対策を講じないとした前提条件に基づくものであります。

しかし、今回のTPPの大筋合意では、品目によって関税削減の程度や関税撤廃までの期間などが異なっております。

また、国では「総合的なTPP関連政策大綱」を11月25日に決定し、万全の対策を講ずるとしていることから、前回と同様の条件で試算することは適当でないと思われます。

この大綱では農産物の輸入増加などによるマイナスの影響のみではなく、海外への販路開拓などによるプラスの効果も含めた経済効果分析結果を公表するとしております。

仮に現時点において県が独自の前提条件で試算を行った場合、国の分析結果と異なることが予想され、農業者に無用の混乱を招くことになると考えられます。

このようなことから、県といたしましては、今後、国が公表をする分析結果を精査し、本県の農産物に係る影響試算を行ってまいります。

 

【前原県議再質問】

どのような影響が出るのか試算を早く行い、対応すべきではないでしょうか。

【農林部長】

前原かづえ議員の御質問1「埼玉農業を壊滅させるTPPは撤退しかない」の再質問にお答えいたします。いくつかの県を私も確認しましたが、国の試算の前に算定している県があるというのは承知しております。

例えば滋賀県で、産出額は40億円というように試算してますが、同じ滋賀県でJA滋賀中央会が試算しているものは82億円ということで、倍ぐらいの差が生じているということでございます。

今回の大筋合意の内容は複雑で、前提条件の置き方で大きな試算結果の差が生まれると考えておりますので、埼玉県といたしましては、国の分析結果を精査いたしまして、本県の影響試算を行ってまいりたいと考えております。御理解いただければと思います。

 

2 保育所の増設で真剣に子育て支援を

【前原県議】

次に「保育所の増設で、真剣に子育て支援を」についてです。

この間、国・県・市町村それぞれの努力で保育所整備は急速に進んできました。しかしアベノミクスの実質賃金の減少で、女性の就労人口は増える一方です。県は「子育て応援行動計画」の中で、保育所受け入れ枠を1万7千人分増やす目標をかかげています。しかし県の対象乳幼児の保育所入所率は26%。これを安倍内閣の目指す60%とするなら、12万人分を作る必要があります。保育所受け入れ枠が、1万7千人分ではあまりにも足りません。子育て応援行動計画の受け入れ枠を見直すべきだと考えますが、福祉部長の答弁を求めます。

保育所整備は進んできたといいましたが、私の地元ふじみ野市では、老朽化にあたって公立保育所2園が廃止され、さらに2園が廃止予定です。私立保育所の整備はあっても、これでは今後も激増する保育需要に応えられません。

全県的にも公立保育所は5年間で33箇所減少しています。ふじみ野市は「整備にも、運営にも国の補助がなく、子ども一人あたりの経費が公立は3倍以上かかる」と廃止理由を述べていますが、公立保育所整備の目的型補助がなくなり、交付税措置となったことが公立廃止の流れの原因であることは明らかです。公立保育所の長所は、保育士不足の中なんといっても保育士の確保に優れていることです。

ここでお伺いします、公立保育所も、私立認可保育所もともに整備すべきと考えます。また、公立保育所整備・運営費補助制度を復活するよう国に求めるべきと考えますが、2点福祉部長答弁を求めます。

保育所整備が進む中、私立保育所では保育士不足に苦しんでおります。保育所は多くが朝7時開所夜8時閉所であり、変則的な勤務時間、ここに保育士不足の根本要因があります。くわえて、東京都の保育士給与月額が24万円、一方埼玉県は月額20万円と、格差があります。

質問ですが、1つ、東京都と埼玉県には国の補助の基準となる公定価格に格差がありますが、この解消を国に要望すること、2つ、保育士の処遇改善を国に要望すること、3つ、埼玉県単独の処遇改善費を当面復活すべきと考えます。以上3点について福祉部長ご答弁ください。

東京都隣接の県南部は、保育士の東京流出に苦戦しております。保育士獲得のために埼玉県が特別ながんばりをみせていただきたい。ふじみ野市は10月にハローワークと合同説明会を行いました。市内の保育所に就職がきまれば支度金もでるなど工夫もあり、保育士の確保に結びつきました。福祉部長に伺います。このような市町村のとりくみをもっと県が財政支援すべきではありませんか。また、県主催の説明会など、保育士確保の取り組みも一段と強化すべきです。以上2点について答弁を求めます。

 

【福祉部長】

御質問2「保育所の増設で真剣に子育て支援を」についてお答えを申し上げます。

まず、子育て応援行動計画の保育所受入枠の見直しについてでございます。

県では、市町村が保育の利用希望を調査して定めた計画をもとに、本年3月に「埼玉県子育て応援行動計画」を策定し、保育所等の受入枠を定めております。

5年の計画期間の中で保育ニーズが変化し、市町村が計画を変更した場合には、県の計画を見直すこともありますが、市町村による計画変更が行われていないため、見直しは考えておりません。

次に、公立保育所も、私立保育所も、ともに整備すべきについてでございます。保育所の整備については、保育の実施責任のある市町村が地域の実情を踏まえて計画を策定し、実施するものと考えております。

次に、公立保育所整備・運営費補助制度の復活についてでございます。公立保育所の施設整備費や運営費については、国のいわゆる三位一体改革において、税源移譲と地方交付税措置により一般財源化されており、国に対して補助制度の復活を要望することは考えておりません。

次に、本県と東京都との公定価格の格差解消の要望についてでございます。国に対し、隣接する地域で大きな差が生じないように、地域の実情を反映した公定価格を設定するよう引き続き要望してまいります。

次に、保育士の処遇改善の要望についてでございます。保育士が安定して働き続けられるよう処遇の改善を引き続き国に要望してまいります。

次に、県単独の処遇改善についてでございます。県単独の保育士給与の改善については、国の予算の状況などを見極めつつ、県としてどのような対応策が可能なのか検討してまいります。

次に、市町村による保育士就職説明会への財政支援についてでございます。保育士就職説明会については、国から市町村に対する財政支援が行われております。また、ふじみ野市が実施した就職支度金については、国の平成28年度概算要求に同様の事業が盛り込まれて、検討が行われております。市町村の取組に対する県の財政支援については、こうした国の予算の状況などを見極めつつ検討してまいります。

次に、県による保育士確保の取組の強化についてでございます。県では、潜在保育士などを対象とした就職説明会の開催や就職のあっせん、保育士養成施設の学生に対する県内保育所のPRなどに取り組んでおります。

今後とも、一人でも多くの保育士に県内の保育所で働いていただけるよう、保育士確保の取組を強化してまいります。

 

【前原県議再質問】

保育所の受入枠が足りなくなることから、埼玉県子育て応援行動計画を見直すべきではないでしょうか。また、保育士の処遇改善について、国任せではなく県として保育士の処遇改善を実施すべきではないかと考えるがいかがか。

【福祉部長】

前原議員の御質問2「保育所の増設で真剣に子育て支援を」の再質問にお答えを申し上げます。まず、保育所受入枠の見直しでございます。この受入枠は、市町村が保育の利用希望を調査し定めた計画をもとに、本年3月に県が定めました。保育ニーズが変化し、市町村が計画を変更した場合には、県は計画を見直すことがあります。しかしながら、策定後間もなく、市町村の計画変更は行われていないことから、見直しはしないということでございます。

次に、県単独の処遇改善についてございます。保育士の給与の改善は、国の責任でまず対応すべきであると考えております。このため、国には公定価格の改善を強く要望しております。その上で、国の動向を見ながら、県独自の処遇改善の必要性について検討してまいります。

 

3 障害者に住みやすい社会は、だれにとっても住みやすい社会

(1)障害者権利条約の理念について

【前原県議】

続いて「障害者に住みやすい社会は、だれにとっても住みやすい社会」の「障害者権利条約の理念について」です。きたる12月13日は「障害者権利条約」の誕生日です。平成18年に誕生したこの条約を日本は昨年批准いたしました。「えほん子どもの権利条約」にはこう書かれています。

「障害者権利条約が大切にされればされるほど

街の中で障害のある人を多く見かけるはずです。

障害のある人に明るさや笑顔が増えるはずです。

それはだれにとっても住みやすい社会となるはずです。」

初めに知事、「障害者に住みやすい社会がだれにとっても住みやすい社会」、これは県政において非常に重要な指摘と考えますが、いかがでしょうか?

 

【知事】

「障害者に住みやすい社会は、だれにとっても住みやすい社会」のお尋ねのうち、「障害者権利条約の理念について」でございます。

平成18年12月に国連総会で採択された障害者権利条約は、教育、雇用、文化・スポーツなどの分野で障害者の権利を実現するために取り組まなければならない事項を盛り込んだ障害者に関する初めての国際条約です。

この条約の批准のため、障害を理由とした不当な差別の禁止、必要な配慮の提供などを内容とする障害者差別解消法の制定など国内法の整備が進められてきたところでございます。

これらの法整備によって、障害者の人権の尊重と社会参加の実現に向けた取組が一層強化されるようになりました。

権利条約では、「社会モデル」という考え方に立って取組を進めていくことが条約批准国に求められています。

これは、例えば足に障害がある人が建物を利用しづらいという場合、足に障害がある方に原因があるのではなく、段差がある、エレベータがない、という建物側に原因があるものであります。すばらしい考え方だと思います。私たちも、こういう発想をしなければならない時代がまいりました。こうした考え方は、全ての県民に対して事業を進めていく上で大変重要なものだと考えているところでございます。

 

(2)『手話は言語』手話によるコミュニケーションを広げるために

【前原県議】

次に「『手話は言語』手話によるコミュニケーションを広げるために』についてです。

皆さんは毎日どのようにコミュニケーションをとっていますか。大多数の人は、声を出し、耳で聞くことによって、コミュニケーションをとっています。「おはよう」「ご苦労様」「だいじょうぶ?」など、聴覚障害者は手や、指、顔の表情を使いコミュニケーションをとる視覚言語=手話を使います。

私は、若いころ勤務していた職場で聴覚障害者と出会い、彼女と親しくなりたい一心で、筆談と指文字でコミュニケーションをとりました。この経験から手話を学びなおしたい、みなさんと交流したいとの思いで今、ふじみ野市の手話講習会に参加しています。その中で、手話は法的には言語として認められず、そのために聴覚障害者は社会のいろいろな場面で不利益をこうむり、差別され、排除されてきた経過があることを知りました。

平成23年8月に障害者基本法の一部改正で、「言語に手話を含む」ことが明記されたのは大きな一歩です。次の一歩は、手話言語法の制定です。

手話言語法は障害者が、日常生活や職場などで自由に手話を使えること、聴覚障害教育に手話を導入し、聴覚障害児や保護者が手話に関する正しい情報を得ることを保障するなど社会的に生きられる事をめざしています。この法の成立はもちろんのこと、わたしは埼玉県でも手話言語条例の制定が必要だと考えております。

現在県では、手話通訳養成講座や、通訳派遣事業など取り組んでおられますが、聴覚障害者の願いは、病院や郵便局、図書館などに手話ができる人を配置してほしい、介護施設に手話ができる人が増えてほしい、通訳養成だけでなく、手話が広がってほしいという願いを持っています。通訳者の養成・派遣事業の拡充について、福祉部長の答弁をもとめます。

先日、手話講習会の時に突然非常ベルが鳴りました。聴覚障害者の講師は何も知らずに授業を進めていました。授業中ですから、私たちは手話で先生に状況を伝えました。聴覚障害者は周囲の人には障害がわからないので、災害時にまわりの人から支援が得られません。熊谷市では、「手話ができます」と書かれたスカーフ、狭山市では「耳が聞こえません」と書かれたバンダナを関係者に無料で配布しています。災害時だけでなく、普段の生活の中で、アピールできるグッズを配布するなど、視覚に訴えることは大切だと思います。アピールグッズの配布・普及を提案したいと思いますが、福祉部長の答弁を求めます。

また、手話などに関する学習教材ハンドブックを作成し小中学校に広げ、総合の授業などを活用し手話などを学ぶ意欲を促す事業を実施している市もあります。このような、障害に対する理解を広げる取り組みの推進について教育長の答弁を求めます。

 

【教育長】

御質問3「障害者に住みやすい社会は、だれにとっても住みやすい社会」の(2)「『手話は言語』手話によるコミュニケーションを広げるために」についてお答えを申し上げます。

現在の小・中学校学習指導要領には、「手話」に関する学習は位置付けられておりませんが、総合的な学習の時間や音楽の授業などの中で「手話」を使った活動をしている学校がございます。

例えば、総合的な学習の時間で「福祉」に関する学習をより実感を伴ったものにするために、地域の社会福祉協議会と連携した「手話」の体験活動やろう学園との交流会などを取り入れている例もございます。

また、音楽の授業で「手話」を用いることにより、体全体で表現しながら合唱ができるという活動例もございます。

県教育委員会といたしましては、「手話」を取り入れた効果的な実践例を収集し、各小中学校が集まる研究協議会で情報提供するなど、障害に対する理解を広げる取組を推進してまいります。

【福祉部長】

次に、御質問3「障害者に住みやすい社会は、だれにとっても住みやすい社会」の(2)「『手話は言語』手話によるコミュニケーションを広げるために」についてお答えを申し上げます。まず、手話通訳者の養成・派遣の拡充についてでございます。

県といたしましては、関係する団体や市町村と協力し手話に関心がある方に通訳者の養成講習会への参加を呼び掛けるなど事業の拡充に努めてまいります。

次に、アピールグッズの配布・普及についてでございます。

アピールグッズの必要性については様々な意見があると聞いておりますので、市町村に対し地元の障害者団体や消防などの声を聴いて必要な取組を行っていただくよう働き掛けてまいります。

 

(3)重度心身障害者医療費助成制度の拡充を

【前原県議】

次に、「重度心身障害者医療費助成制度の拡充を」についてです。

重度心身障害者医療費助成制度=重度医療について、埼玉県は今年1月より65歳以上になってから、重い障害者となった方を適用から外しました。1月から10月で重度医療の対象外となった人は5254人です。重症の腎臓病患者・心臓病患者など、この重度医療の適用を受けています。患者団体から「生きていく手段を奪わないで」と悲痛な声をいただいています。保健医療部長、今からでも撤回していただきたいが、答弁を求めます。

これまで、精神障害者は重度医療の対象とされていませんでした。この1月から、ようやく精神障害者保健福祉手帳1級の方が対象となりました。しかし1級という重度者のほとんどが入院をしているのに、精神病床への入院については適用外です。身体障害、知的障害は対象とされているのに、精神障害者の精神病床への入院について除外するのは差別です。今後の対象拡大について、保健医療部長ご答弁下さい。

また、重度医療ほか乳幼児、ひとり親家庭等あわせて3福祉医療について、実施主体の市町村に対する県補助はおおむね2分の1です。ところが戸田市のみ3分の1、三芳町は12分の5とされております。どの自治体で暮らしていても県民は県民であり、これは公平を欠くやり方です。財政力がある自治体からは、相応の県税収入もあるはずです。戸田・三芳への補助格差は解消すべきと考えますが、保健医療部長答弁を求めます。

 

【保健医療部長】

御質問3「障害者に住みやすい社会は、だれにとっても住みやすい社会」の(3)「重度心身障害者医療費助成制度の拡充を」についてお答えを申し上げます。

まず、65歳以上になってから重い障害者となった方を適用から外したことについてです。生まれつき、あるいは若くして重度心身障害者となった方は経済状況が非常に厳しく、適切な医療を続けていくために、医療費支援は大変重要となります。

一方、65歳以上になって初めて重度心身障害者となった方は、それまでの間、資産形成ができる環境にあるなど、生活の実態が大きく異なると考えられます。

また、65歳以上の方は、75歳以上にならなくとも、障害認定を受けることで後期高齢者医療制度に加入することができ、その場合には、医療費の自己負担金は3割から1割に軽減されます。

現在、新たに身体障害者手帳を取得される方のおよそ7割が65歳以上となっており、制度を安定的に運営するとともにより支援を必要とする方を支えていくためには、年齢制限は必要だと考えております。

次に、精神病床への入院まで対象を拡大することについてです。

県内にある精神病床約14,000床のうち9割以上は常に入院患者で満床の状態にあり、平均在院日数は280日以上と大変長期間にわたっております。県では、精神障害疾患においては、入院期間の短縮を図り、できる限り早期の社会復帰、社会参加を促進するための取組を進めております。こうした中、精神病床への入院医療費を助成することの是非については慎重に考える必要があり、助成対象外とした経緯がございます。精神疾患については通院分について新規に対象に加えたばかりであり、更なる対象の拡大については今後の動向を注視してまいりたいと存じます。

次に、戸田市・三芳町への補助率格差は解消すべきについてです。平成20年度に財政力指数に基づき補助率を変更する仕組みを導入いたしました。これは財政力が強い市町村に多く御負担いただくことで、制度を将来にわたって安定的に維持していくものです。御理解を賜りたいと存じます。

 

4 再チャレンジできる社会へ、子どもの貧困対策を

【前原県議】

次は「再チャレンジできる社会へ、子どもの貧困対策を」についてです。

上田知事は、「再チャレンジできる社会へ」として、生活保護受給者チャレンジ支援事業の一つであるアスポート=学習支援事業に全国に先がけて取り組んできました。教室参加者の高校進学率は事業開始前の86.9%から約11ポイント引き上げるなど大きな成果をあげています。生活困窮者自立支援法のもと、平成27年度から市部は市が、町村部は県が実施主体となりました。10月末現在で、全自治体で実施し、学習教室は87教室に広がっています。

先日、地元ふじみ野市の学習教室を見学させていただきましたが、受験を控えた中学3年生が学生ボランティアと向き合い、真剣に勉強する姿がとても印象的でした。教室を運営する「彩の国子ども・若者支援ネットワーク」の代表は、「一人親家庭など生活保護世帯の状況をつかむことが子どもの学習支援につながる。不登校の子も多く、家庭訪問をして参加を促すことが何よりも大切。さらに、支援員らの親身なマンツーマン学習によって、はじめは低学力の子どもが、高校進学を果たしている」と話していました。このような丁寧な支援をするために、ふじみ野教室では38人の参加者に対し、学生ボランティア26人、支援員9人、スタッフ5人の40人の体制で教室運営にあたっているとのことです。今後もアスポート事業が成果をあげるためには、訪問活動やマンツーマン学習を実施できる人的体制を保障することが何よりも重要です。

そこで伺いますが、県の学習支援事業については、今後も実施水準を維持・向上していただきたい。また、各市の学習支援事業についても、県と同水準に引き上げていくよう各市に強く働きかけるとともに、講師派遣を含めた支援を強化すべきです。以上3点について、福祉部長よりお答えください。

 

【福祉部長】

御質問4「再チャレンジできる社会へ、子どもの貧困対策を」についてお答えを申し上げます。まず、県の学習支援事業の実施水準の維持等についてでございます。県が実施している家庭訪問やマンツーマンの支援は大変有効でございますので、今後とも実施水準の維持に努めてまいります。

次に、市を県と同水準に引き上げるための働き掛けと、講師派遣を含めた支援の強化についてでございます。県と同様の支援を行っていない市に対しては、会議や研修などを通じて導入を働き掛けてまいります。また、講師となる学生ボランティアを県が募集し市に紹介するほか、支援員や学習ボランティアの研修などを実施し、市を支援してまいります。

 

5 県内東西南北に『ひきこもり』相談センターを

【前原県議】

次に、県内の東西南北に「引きこもり相談センターを」についてです。

10月、三重県津地裁で30年にもわたる自宅引きこもりの末、パソコンを買ってもらえなかったと父親を殺害した59歳の男性の判決がありました。

内閣府によると、埼玉県内のいわゆるひきこもり人口は3万9千人と推計されますが、これは氷山の一角です。保護者たちが高齢化していること、受け皿がなく保護者が孤立していることなどが、近年の特徴です。長期間放置されれば、アルコール中毒、家庭内暴力など深刻化する場合もあります。しかし県発行の冊子の中に、「職場のいじめをきっかけにひきこもった29歳の男性。支援団体がつくる居場所=フリースペースを利用し、頼りにされたことで自信をつけ、調理士の資格をとり就職した」など、早期に適切な働きかけがあれば、再び社会に足を踏み出せるケースが紹介されています。知事に伺います。引きこもりの現状についての認識をご答弁ください。

埼玉県は11月より越谷市内にNPO委託の「引きこもり相談センター」を開設しました。党県議団は相談センターと併設のフリースクールを視察しました。そこでは子どもたちの焼くお菓子の香りが充満し、仲間とゲームをする子、イラストを描く子、エレキギターを練習する子など、それぞれが自主的に居場所を見つけ、活動しています。NPOはこのような経験を大いに生かし、引きこもりの子ども・保護者の相談やグループ活動を進めていく予定です。「少しでもひとと話ができることで、気持ちが楽になってもらえれば」と事務長さんは話しておられました。

さいたま市のひきこもり相談センターも訪問しました。心の健康センターの人員体制のうち、精神保健福祉士など専門職の4人を専任として「ひきこもり相談センター」の看板をかかげています。こちらではグループワークのほかに、リレートサポーターという支援者を10数人育成し、家庭訪問活動も行っています。

今後、県の相談センターもさいたま市のセンターのように、専門体制を整え、訪問活動なども積極的に行えるよう拡充していただきたいのですが、保健医療部長の答弁を求めます。

ひきこもり相談センターについて、国の方針は県と政令市に1か所ずつですが、100万人の政令市に1か所相談センターがあるのに、県全体で東部に1か所というのはいかがなものかと思われます。せめて東西南北に相談センターを設置していただきたい。保健医療部長の答弁を求めます。

 

【知事】

「県内東西南北に『ひきこもり』相談センターを」のお尋ねのうち、ひきこもりの現状認識についてでございます。

ひきこもりは、本人にとって就学や就労ができないなど自立と社会参加の機会が失われ、こうした状態が長期化すれば、社会生活への復帰が著しく困難になってまいります。

また、御家族にとっても精神的、経済的に大きな負担が掛かり、さらには、社会にとってもひきこもりが増えることで活力の低下にもなります。

最近では、ひきこもりの長期化とそれに伴う家族の高齢化が大きな問題になっております。私は、ひきこもりの長期化を防ぐために、本人だけではなく御家族や関係者が相談窓口に、まずはできるだけ早く来ていただくことが重要であると思います。

これまで、ひきこもりの原因の一つでありました不登校対策としては、公立中学校に心理の専門家を配置するほか、不安を抱えている保護者の方を対象とする相談会を開催するなど相談体制の充実を図ってまいりました。その結果、公立中学校における不登校率の全国順位は平成18年度の40位から平成26年度には7位まで向上できました。

また、いわゆるニートの対策としても、県内4か所にある地域若者サポートステーションにおいて、平成26年度は6千件を超える相談を受け、500人を超える方の就職に結び付けることもできました。

さらに、ひきこもりの長期化を防ぎ早期解決を図るため、若年層の段階から相談に応じていくことが有効だと考えます。

フリースクール運営などでノウハウを持つ民間団体に委託し、本年11月に、県としてひきこもり相談サポートセンターを開設いたしました。このセンターでは、専門の支援コーディネーター3人を配置し、自らの経験に基づき、相談者一人一人の状況に応じた助言や当事者同士の交流会への参加を働き掛けるなど、ひきこもりからの社会復帰を支援しています。

 

【保健医療部長】

御質問5「県内東西南北に『ひきこもり』相談センターを」について、お答えを申し上げます。

まず、訪問活動の充実を図るべきについてです。ひきこもり当事者は、自ら助けを求めることができず、相談会場に出向くことも難しいことから、訪問活動は有効な支援策の一つになると考えます。

一方で、自宅に他人が訪ねて来ること自体に抵抗を示し、かえって訪問を依頼した家族との関係が悪化するケースもございます。訪問活動の実施に当たっては、当事者やご家族との関わりを深めながら時間をかけて信頼関係を築いたうえで、訪問の時期などを慎重に判断し行う必要がございます。

県では、ひきこもりから社会復帰できた経験者にピアサポーターとして直接、訪問・相談に当たっていただいております。

また、当事者同士が悩みを共有し社会復帰のきっかけとなる集いの場を開催しています。

この11月に開設した相談サポートセンターでも、訪問活動などを今後行っていく予定でございます。

さらに、どのようなきっかけで社会復帰できたのか、実際に回復された方の声などを事例集として取りまとめ、ひきこもりに悩む皆様に活用していただいております。

事例集では、かつて不登校を体験し、その時に利用したフリースクールでのボランティアをきっかけに自信を取り戻し、得意なパソコンを活かして就職した例など数多くの事例を紹介しております。県といたしましては、今後とも、相談・訪問活動の充実に努めてまいります。

次に、ひきこもり相談サポートセンターを県内東西南北に設置すべきについてです。

県内全ての保健所において、日常的に精神保健福祉士や保健師が相談を受けているほか、ひきこもりに関する専門知識を備えた臨床心理士による相談も実施しております。

また、相談サポートセンターのコーディネーターが必要に応じて、出張相談することなども考えています。相談サポートセンターは開設間もないことから、まずはこうした運営を行う中で、相談内容などの検証を行い、関係機関とも協議しながら今後の相談体制のあり方について検討をしてまいります。

 

【前原県議再質問】

ひきこもり相談サポートセンターについて、東部地域だけでなく西部地域の人が相談に行けるよう、センターを今後どう整備していくのかしっかりとした計画を持ってほしいがいかがか。

【保健医療部長】

御質問5「県内東西南北に『ひきこもり』相談センターを」についての再質問にお答えを申し上げます。

相談サポートセンターを東西南北に設置することについて、しっかりした計画を持ってほしいとのお尋ねでございます。

先ほど答弁いたしましたとおり、県内全ての保健所において日常的に精神保健福祉士や保健師が相談を受けております。

また、ひきこもりに関する専門知識を備えております臨床心理士も相談対応しており、ピアサポーターの訪問相談や集いの場の開催も行っております。今後設置しないということでなく、相談の実態をよく把握させていただいた上で、今後の対応について検討してまいりたいということでございますので、ご理解をたまわりたいと存じます。

 

6 大規模商業施設の林立の中で、商店街活性モデルタウンプロジェクトを

【前原県議】

次は「大規模商業施設の林立の中で、商店街活性モデルタウンプロジェクトを」についてです。

埼玉県内各地に、超大規模商業施設が林立しております。敷地面積34万平米の越谷レイクタウン、23万平米超のイオンモール羽生、14万平米超のモラージュ菖蒲などはご存知と思います。さらに 今年、15万平米超のららぽーと富士見、14万平米超のさいたま市コクーン2がオープンしました。今後も7万平米超のイオンモール上尾、17万平米超の花園プレミアムアウトレット、13万平米の所沢東口開発とまだまだ、大規模商業施設の進出の勢いは止まりません。

その一方で、県内小売業商店数は、平成24年までの10年間で6500件減少しました。その結果、中心市街地は、飲み屋チェーンと塾と整体・診療所に占められております。大規模施設に太刀打ちできない大型店の撤退も、平成27年度までの15年で70件発生し、郊外住宅団地からは小規模スーパーが撤退し、買い物難民が生み出されています。

平成12年の大店法の廃止によって、いわゆる商業調整が禁止された結果、商店街の荒廃に拍車がかかり、コンパクトシティが崩れ去っています。知事にお伺いします。私は大規模商業施設の林立による商店街はじめ地域社会の荒廃が、高齢化社会に向けて、もはや深刻な段階に至っていると感じておりますが、いかがですか?また、このような政府の政策から全力で商店営業を守ることが県の仕事だと考えますが、2点について知事ご答弁ください。

党県議団は、すでに商店リフォーム助成制度に実績のある群馬県高崎市を視察しました。高崎市が実施している助成事業は、既存の商店はもちろん、これから営業を開始しようとしている人も対象に、店舗などの改装や、店舗などで使用する備品の購入に対し、その費用の2分の1を補助するもので、補助上限額100万円です。これは、制度を活用する商店だけでなく、工事を請負う地元業者も元気になる制度だと、高崎市の職員は語っています。

訪問した中華料理店主は、20年以上使って冷えなくなったエアコンや、製氷機を更新しました。費用は総額160万円です。半分が助成されるので、持ち出しは80万円ですみました。「若いときは勢いでやってきたが、歳をとってからは、無理がきかず、修理や購入にも金もかかるので、店を閉めようかと思った。でもこの制度のおかげで、乗り越えられた」と、語っていました。高知県で4月から始めましたが、埼玉県としても、商店リフォーム助成制度を創設すべきと考えますが、産業労働部長の答弁を求めます。個人財産への公費投入を疑問視する意見もありますが、エコタウンプロジェクトのように個人宅や商店に補助をした例もあります。私は、商店活性モデルタウン計画として、モデルの市町村をつのり、その中でリフォーム助成を始めることを提案しますが、産業労働部長の答弁をもとめます。

 

【知事】

最後に、「大規模商業施設の林立の中で、商店活性モデルタウンプロジェクトを」のお尋ねのうち、地域社会の荒廃が深刻な段階に至っているのではないかについてでございます。

大規模な商業施設の出店は、一般に商店や商店街の売上げにマイナスの影響を与えています。商店街機能の低下によって地域社会の機能が弱くなっていることは事実だと思います。

大型店の出店場所については、平成19年の都市計画法改正により、立地可能な用途地域を見直すとともに、用途地域を緩和する地区計画制度の創設により市町村のまちづくりの中で主体的に定めることになりました。

県では大型店と地域商業との共存の重要性を踏まえ、平成19年に「大型店、チェーン店の地域商業貢献に関するガイドライン」を定め、地元市町村のまちづくりや商店街事業への協力を働き掛けています。これらにより、大規模な商業施設と地域の商店街が共存を図る動きも出ております。例えば本年4月に開店した「ららぽーと富士見」においては、全てのテナントが商工会に加入し、地元商店会のスタンプラリーに積極的に参加するなど、地域商業との連携をした取組も行っております。今後とも高齢化社会を見据え、身近な地域の商店街と大型店の共存を進めながら、地域商業の活性化を図っていきたいと思います。

次に、このような政府の政策から全力で商店営業を守ることが県の仕事だと考えるがいかがかについてでございます。

商店や商店街の活性化は、私も大きな課題だと思っております。なぜなら、顔が見える商店や商店街は、単なる買い物の場所だけではありません。地域社会におけるコミュニティの形成や交流の場であり、時と場合によっては、安心・安全を守る「交番」や「灯台」にもなったりする、地域にとって貴重な存在だと認識しています。そうした商店や商店街の衰退に対し、私自身もあるいは県全体も危機意識を持っています。

こうした危機意識の中で、県では、地域商業をけん引する人材の育成、専門家によるノウハウの指導、モデル事業の実施など、商店や商店街を支援しております。

中でも、元気でやる気のある「黒おび商店街」に対し、新たな補助制度を設け、工夫を凝らした集客イベントなど、商店街のにぎわい向上につながる事業を支援しております。

県内各地で頑張っている873店を「地域で頑張る元気な商店」として、ホームページでも紹介しております。また、意欲の高い個人商店を応援するため、個性ある店づくりを行っている小売店をこれまでに78店表彰してまいりました。

今後も、市町村、商工団体と連携して多くの商店・商店街が自らの力で活性化に取り組めるよう様々な視点から支援をしてまいります。

 

【前原県議再質問】

自らの力で乗り越えられないような大きな問題が起きており、商店の荒廃が明らかになっています。商店を守るという対策を前に進めていただきたいと考えますがいかがか。

【知事】

大規模商業施設関連の再質問でございますが、問題意識は基本的には議員と変わらないと思っております。そして商店並びに商店街のこうした困難な状況をできるだけカバーすべき政策についても一定の御理解を商店、商店街からも理解をいただいていると私たちは考えております。

そして、それでも、最後は、個々の商店街や個々の商店に、それなりの努力や工夫がいるっていうことを申し上げたことについて御理解を賜りたいと思います。

 

【産業労働部長】

御質問6「大規模商業施設の林立の中で、商店活性モデルタウンプロジェクトを」のうち、商店に対するリフォーム助成制度の創設について、お答えを申し上げます。

現在、個人商店を取り巻く環境は大変厳しく、店舗の改修や使用備品を購入することが大きな負担となっているものと思われます。

しかしながら、店舗の建物や備品は、商業者の資産となることに加え、商業的効果がその個店に限られることから、その取得に公費を投入することは慎重にならざるを得ません。

したがって、リフォーム助成制度の創設は、難しいものと考えております。

次に、モデル市町村を設定して、リフォーム助成を始めてはどうかとの御提案でございますが、モデル事業は全県展開を前提として行うものでございますので、エリアを限定しての検討も困難と考えております。商業者の方々に対する支援は、補助制度だけではなく、様々な方法があります。県では、個人商店に対する専門家による経営ノウハウの指導、商店街活性化リーダーの育成、個性あふれる小売店の表彰などの事業により支援を行っております。

今後も、市町村、商工団体と連携して、多くの商業者が自らの力で稼いでいけるよう支援してまいります。

 

7 『いやや(188)、泣き寝入り』消費者行政の拡充を

【前原県議】

続いて「『いやや(188)、泣き寝入り』消費者行政の拡充を」についてです。

「いちはちはち」このダイヤルナンバーで消費生活支援センターにつながります。「いやや、泣き寝入り」と覚えます。みなさん、ご存知でしたか?

埼玉県消費生活支援センターによると、消費者被害相談件数は年間5万件以上で推移し、市町村窓口の相談件数も年々増えています。相談の特徴はインターネット関連の増加、そして高齢者被害の増加です。

私は川越の消費生活支援センターを訪問しました。川越のセンターでは所長はじめ4人の常勤職員と、7人の非常勤職員の相談員さんが、がんばっています。センターの活動で特記すべきなのは、被害者にかわって悪徳事業者と直接交渉し、事業者に指導を行うことです。最近でも出会い系サイトの被害者のために、タックスヘイブンに事業所を置く業者から、数百万円を取り返すなど、実績をあげています。

「お金を払う前にご相談ください」と所長は強調していますが、センターの業務を広く県民に知らせ、気軽に相談できる気風をつくる必要性を痛感しました。「188」(いちはちはち)「いやや、泣き寝入り」、この番号の普及はまだまだです。高齢化社会にむけて、全力で普及啓発をしていただきたい。特に、高齢者に関わることの多い福祉部との連携が不可欠です。福祉部長、高齢者の消費者被害の実態についてのご認識を答弁ください。また「いちはちはち=いやや」を地域包括支援センターはじめ高齢者施設で積極的に広報啓発していただきたい。こちらは県民生活部長と福祉部長双方の答弁を求めます。

相談解決のカギは、相談員さんの力量です。特に県の相談員は市町村の相談員の指導にもあたる立場です。しかし、毎日8時45分から17時まで週4日勤務の非常勤職員です。専門職にふさわしく処遇を改善し、常勤化すべきです、県民生活部長の答弁を求めます。

高齢者の持っている貴金属などを低価格で買い取る、いわゆる「おし買い」被害相談について、地域包括支援センターに連絡し、ただちにヘルパーに訪問してもらい被害を防いだという経験もあるそうです。国は来年4月までに市町村に、高齢者関係者、介護関連団体、民生委員、ヤクルトや生協など宅配などの事業者でつくる消費者安全確保地域協議会の設置を掲げています。しかし現在は設置予定の市町村はないとのことです。県内市町村ですでに構築してきた高齢者ネットワークを生かしながら、消費者団体も交えて、協議していくしくみをつくっていくべきです。県民生活部長の答弁を求めます。

 

【福祉部長】

御質問7「『いやや(188)、泣き寝入り』消費者行政の拡充を」についてお答えを申し上げます。

まず、高齢者の消費者被害の実態の認識についてでございます。60歳以上の方からの消費生活相談件数は、平成22年度の14,050件から平成26年度の16,760件に増加しており、高齢者が消費者被害に遭うことのないよう啓発を進めることが重要であると考えております。

次に、消費者ホットライン「188」の積極的な広報啓発についてでございます。

地域包括支援センターをはじめ県老人クラブ連合会や県民生委員・児童委員協議会などと連携を図りながら周知に努めてまいります。

 

【県民生活部長】

御質問7「『いやや(188)泣き寝入り』消費者行政の拡充を」のお尋ねのうち、188の高齢者施設での積極的な広報啓発についてお答えを申し上げます。

本年7月1日からの消費者ホットライン188への3ケタ化に際し、県といたしましては広報紙やラジオCMなど様々な媒体を活用し周知を図ってまいりました。7月から9月までの3か月では、消費者ホットラインの番号が0570から始まる10桁だった前年に比べ、約2000件増の7909件の利用があり、覚えやすい3ケタにした一定の効果が出始めていると考えております。

お話の高齢者への周知については、高齢者の周囲で活動する福祉関係者との連携が有効ですので今後も地域包括支援センターなどに御協力をいただきながら進めてまいります。

次に、県の消費生活相談員の処遇を改善し常勤化すること、についてでございます。

相談員には幅広い知識とともに、高度な相談技術が求められます。そのため、消費生活に関する専門的な資格を有し、その能力・技術を維持していることを条件に、任期付の非常勤職員として採用しております。

この非常勤の報酬につきましては、平成22年度から平成25年度にかけて、週3日勤務の日額制から週4日勤務の月額制への移行を順次進め、相談体制の充実に合わせて、処遇の改善を図ってまいりました。

最後に、消費者安全確保地域協議会の設置についてでございます。

協議会の活動は、地域の高齢者や障害者、また認知症等により判断力が低下した人などの見守りが中心となることから、すでに構築されている福祉関係の見守りネットワークのメンバーを主体として市町村ごとに協議会を設置していただきたいと考えております。そのため、地域包括支援センターの職員や、民生委員・児童委員を対象に、高齢者の消費者被害防止フォーラムを開催しております。また、設置主体となる市町村の担当課長会議などを開催し、協議会の必要性や重要性、設置の手順などを説明してまいりました。現在、7つの市町で協議会の設置に向けて検討していると聞いております。今後ともこうした取組を積極的に行い、より多くの市町村に協議会を設置していただけるよう、働きかけてまいります。

 

8 三芳スマートインターチェンジのフルインター化について、大型車両通行禁止を

【前原県議】

最後に「三芳スマートインターチェンジのフルインター化について、大型車両通行禁止を」についてです。

関越道三芳インターチェンジのフルインター化、大型車など車種拡大の連結許可が、7月、国土交通省より決定されました。平成30年度開通を目標に事業が進められます。

昨年この問題について、地域住民から、フル化には反対しないが、連結する道路の整備もないのに、大型車の通行を可能にするのは危険だとして、大型車の通行禁止を求める署名が提出されています。しかし今回の事業決定は、住民から示された問題点が解決されないままの見切り発車といわざるをえません。

インターチェンジ周辺は、三富新田の昔ながらの歩道もない道路がほとんどです。現在でも、交通死亡事故が多発しており、農家の方は「トラクターで走るのは命がけ」と言っております。さいたま・ふじみ野・所沢線や所沢・堀兼・狭山線は、現状でも交通量が多く、渋滞が懸念されます。また東入間警察入り口交差点から大井中学校前を通って関越方面に向かうバス通りは、幅員も狭く、大型車がすれ違いできない個所もあります。自転車の死亡事故や、民家に大型車が突入する事故が起きています。大型車が通るたびに家が揺れる振動被害も起きています。

県土整備部長にお伺いしますが、フルインター化・大型車両許可に伴う大型車両増加の影響をどのように予測しているのか、また、市道への支援も含め、周辺の安全対策強化策について、ご答弁ください。

道路の安全対策について、地元のみなさんは、再三、県への要望を行ってきましたが、これまでは「国と町の事業である」という答弁でした。しかし今回の事業決定にあたって、国土交通省は「県・関係市町と連携して検討し、三芳町スマートICフル化地区協議会に報告すること」との異例の条件をつけました。国と町の仕事とするのではなく、県もしっかりと連携すべきだというこの指摘について、県土整備部長と県警本部長の答弁を求めます。

歩道もない、幅員もない、周辺道路環境の整備もないまま、大型車両通行は認めるべきではありません。

このことを強く指摘して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

 

【県土整備部長】

御質問8「三芳スマートインターチェンジのフルインター化について、大型車両通行禁止を」についてお答えを申し上げます。

スマートインターチェンジは、高速道路の利便性の向上だけでなく、地域振興にも大きく寄与するものでございます。三芳町はこの点を踏まえたうえで、三芳スマートインターチェンジの設置の意思表明をしたものと理解しております。

フルインター化、大型車両許可に伴う大型車両増加の影響については、交通量の増加により、交差点の混雑等が想定されます。このためフルインター化の実施計画において、4箇所の交差点整備と2路線の歩道整備について、県及び三芳町が連携して進めることとしております。このうち、県が行うべき2箇所の交差点整備については既に着手いたしました。

また、周辺のより一層の安全対策については、国や関係市町とともに検討会を設け、その中で必要な安全対策を協議することとしております。

さらに、関係市町への支援につきましては、国や高速道路会社など関係機関との調整や道路整備の国庫補助事業の導入などを県として支援してまいります。

県も連携すべきという指摘につきましても、このように大型車にも対応したフルインター化に向け、関係市町や国などの関係機関とともに県がしっかり連携し一体となって取り組んでおります。

 

【前原県議再質問】

インターチェンジ直近の道路だけではなく、その他のインターチェンジへのアクセス道路の整備についてお伺いします。

【県土整備部長】

御質問8「三芳スマートインターチェンジのフルインター化について、大型車両通行禁止を」の再質問についてお答えを申し上げます。

このインターチェンジ周辺の県が管理する道路につきましては、現在も大型車両通行可でございます。フルインター化により交通量が増えることに対する対策として、県としては歩道整備や交差点改良を行っております。

その他の歩道整備等の道路整備につきましては、選択と集中の観点からその必要性に応じて順次整備を検討してまいります。

 

【警察本部長】

御質問8「三芳スマートインターチェンジのフルインター化について、大型車両通行禁止を」についてのうち、私に対するご質問にお答えを申し上げます。

議員ご指摘のとおり、三芳スマートインターチェンジのフルインター化・対象車種の拡大により、周辺道路では大型車両を含めた交通量等の変化が予想されるところであります。

このため県警察では、道路管理者、地元自治体等と連携を図り、整備・改良が予定されている道路の交差点や歩道等における各種交通安全施設の整備等について、協議を行っているところであります。

周辺道路の交通上の諸問題につきましては、引続き適切な掌握に努め、国や県をはじめ関係する市や町と連携を図りながら、交通の安全と円滑の確保のための対策を講じてまいります。

 

【前原県議再質問】

三芳スマートインターチェンジのフルインター化に伴う、県と県警察による連携した交通安全対策について、再度伺います。

【警察本部長】

御質問8「三芳スマートインターチェンジのフルインター化について、大型車両通行禁止を」についての再質問にお答えを申し上げます。

先に御答弁申し上げましたとおり、周辺道路の交通上の諸問題につきましては、引続き適切な掌握に努め、国や県をはじめ関係する市や町と連携を図りながら、交通の安全と円滑の確保のための対策を講じてまいります。