さいたま芸術劇場の利用料10%引き上げ-県民の苦しい生活に背を向けるもの

 

3月11日、城下のり子県議は予算特別委員会部局別審査で、さいたま芸術劇場と私立学校助成金を取り上げました。

チケット代引き上げにつながるのは必至

彩の国さいたま芸術劇場がリニューアルオープンし、あわせて今月の1日から利用料金の改定を行い、10%引き上げとなっています。ホールなどの利用料金からピアノなど備品まですべて10%引きあがりました。県は利用料金収入の見込み増額600万円を指定管理者への委託料から差し引くので、この引き上げがチケット代引き上げにつながることは必至です。

実質賃金が前年比2.5%減ったのに

県は、説明文書で最低賃金が68%引きあがっていることを理由の一つに挙げています。城下県議は「先月実質賃金は前年比2.5%減ったと発表されました。労働者の実質賃金は、この10年間だけでも年収で24万円も減っている」と指摘し「最低賃金が68%引きあがったことだけを指標とするのか」質問。しかし島村繁県民生活部長は、説明文に書いていた最低賃金のことは、いっさいふれず、物価高騰と人件費の上昇のみを理由だと繰り返しました。

文化や芸術の鑑賞、コロナ前から戻っていない

城下県議は「県政世論調査報告書を見ると1年間に文化や芸術の鑑賞をしたと答えた県民は、コロナ前は56%でしたが、2023年度は39.5%となっており、数値としてコロナ以前に戻り切っていない」と指摘。「チケット料金値上げで、文化芸術を鑑賞する人がさらに減る、また芸術劇場を借りるというグループや個人も減り、経営的には悪循環では」と質問しました。しかし、県民生活部長は、料金が高いと批判されている大宮のレイボックホールなどを例示して、「近傍より安い」などとして、減収にはつながらないと強弁しました。

フランスの文化予算、日本の10倍

また城下県議は「日本の国家予算に対する文化庁の予算は0.11%ですが、フランスの文化省予算は日本の10倍」と指摘し、利用料金引き上げ撤回を求めましたが、県民生活部長は「必要な予算。条例の範囲内で適切」と拒否しました。

劇場内カフェが現金決済できない???

城下県議は、芸術劇場内のカフェがキャッシュレス決済のみで、現金決済ができないことから「注文する

ことをあきらめて帰ってしまう人もいる」と指摘し、是正を求めました。しかし県民生活部長は「事業者の判断を尊重したい」と答弁しました。

父母負担軽減金、なぜ県外私学生徒は対象外

私立学校の父母負担軽減金は、県外の私学に通っている生徒は対象外です。東京などの学校に通う生徒は、国の就学支援金11万8800円しか受けられず、県内私学の生徒と比べて最大28万4200円もの差が出てしまいます。そのほか入学金補助10万円と施設費補助は20万円も、県外私学の生徒は対象外です。

所沢市4割が東京都の私学へ

城下県議は「所沢市の中学校で私学へ進学する生徒の4割が、東京都などの県外私学へ進学している。逆に東京都は都外の私学に通う生徒に父母負担軽減金を支給している」として、「なぜ、埼玉県は県外私学に通う生徒に父母負担軽減金を支給しないのか」質問。三須康男総務部長は、「父母負担軽減金の役割に県内私学振興がある」と答弁しました。

私学振興なら、運営費補助全国最下位脱出を

城下県議は「私学振興というなら私立学校運営費をしっかり補助するべきだ」と厳しく指摘。逆に「当初予算では私立学校運営費補助が増額された。埼玉県の一人当たりの私立学校運営費助成金は、全国最下位だが、当初予算の増額で、最下位というのは脱出できたのか」と質問。総務部長は、最下位は脱出できないと答弁しました。城下県議は「私学振興」というなら運営費助成金を増額すべきだと指摘しました。