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予算関連議案以外の知事提出議案及び請願に対する守屋ひろ子議員の討論
(2007年3月12日)
第21号議案、第23号議案〜第25号議案、第27号議案、第28号議案、第30号議案、第31号議案、第36号議案、第40号議案〜第43号議案、第46号議案、第49号議案、第50号議案に対する反対討論
議請第1号、18年議請第12号の第4項について審査結果に反対し採択を求める討論

 初めに、第21号議案「職員の給与に関する条例の一部を改正する条例」と第43号議案「学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例」は関連しておりますので、一括して討論いたします。

 反対理由の第1は、管理職手当の定額化によって副課長級職員の97%が手当の引き下げとなることです。一つの職に長くなればなるほど影響を強く受ける仕組みは、県職員の士気にかかわるだけでなく、生活設計を狂わせるものです。

 反対理由の第2は、農林普及指導手当の支給割合を引き下げたことです。集落営農の推進や農産物のブランド化など農業普及業務が増大している折に、農林普及指導手当を引き下げる理由がありません。

 続いて第23号議案「職員の勤務時間、休暇等に関する条例の一部を改正する条例」と第46号議案「学校職員の勤務時間、休暇等に関する条例の一部を改正する条例」も関連しておりますので一括して討論いたします。

 県教職員には45分間の休憩時間に加えて、これまで30分の休息時間が設定されてきました。本議案は休息時間を削り勤務時間を8時間とするものですが、県人事委員会調査の民間企業の勤務時間平均が7時間46分であるにもかかわらず、県教職員の勤務時間を延長することは、民間準拠の観点からしても矛盾しています。

 国は年間総労働時間1800時間の達成に努力しておりますが、当然、本県も労働時間の短縮に努力すべき立場にあります。ところが、県職員の年間総労働時間は平均1930時間と、むしろ足を引っ張る存在となっています。職員の健康保持のうえからも休憩時間の削減には反対です。

 次に、第24号議案「埼玉県職員の留学費用の償還に関する条例」についてです。これまで留学後3年以内に退職する職員に対して留学費用の返還を求めてきたものですが、返還を求める期間を5年以内へと2年間延長するものです。

 留学費用の返還免除の規定は、定年・死亡・任命権者の命令の3要件しか設定されておらず、病気等やむを得ない理由での返還免除を認められておりません。5年という期間にどのような事情が個人をおそうとも限りません。返還義務期間を延長する以上、不測の事態に対する返還免除の規定を設けるべきであり、今回の改定には賛成できません。

 次に、25号議案「埼玉県職員定数条例の一部を改正する条例」についてですが、知事部局の定例的業務の見直しによる、125人もの削減には賛成できません。

 効率的な行政を進めることについて、もとよりわが党は反対ではありませんが、現在の職員定数削減は、まず定数削減ありきで、行政需要に対する公共サービスの供給量や質について十分な検討が行われているとは言えないのが実態であります。県民1万人あたりの県職員数が全国最低であることは決して自慢できることではありません。環境対策や乳幼児の虐待防止対策、食品衛生の監視体制の強化、感染症対策、建築確認・検査部門の強化など、いま県政には市町村行政ではカバーしきれない広域的で専門的な公務・公共サービスの提供が求められており、大幅な職員定数の削減には賛成できません。

 次に、第27号議案「執行機関の附属機関に関する条例の一部を改正する条例」についてです。

 これまでの所管省庁別の許可制度を廃止し、財団法人と社団法人のうち公益性の高い法人のみを「公益社団法人・公益財団法人」に認定して税制優遇を与えるという公益法人制度改革3法の施行に伴い審議会を設置するものであります。公益法人として認定されなければ、税制優遇が受けられなくなるため、非営利法人の活動抑制につながる危険性が懸念されるため反対するものです。

 次に、第28号議案「埼玉県手数料条例及び埼玉県証紙条例の一部を改正する条例」は、介護支援専門員更新研修手数料を現行の2万円から3万8千円等に引き上げるものです。介護保険法の改正により地域包括支援センターが重要な役割を担うこととなっております。介護支援専門員はそのセンターのかなめとなる存在であり、その専門性の向上は欠かすことができません。その研修を大いに奨励すべき県が、介護支援専門員の更新手数料を最大1.9倍も引き上げることは、理屈が立ちません。同じ介護保険制度に関わる看護師や、保健士には更新手数料は課せられておりません。

 介護支援専門員の研修に対しては看護師や保健師と同様、県が全面的に責任を負うべきであり、第28号議案には反対です。

 次に、第30号議案「生活福祉資金貸し付け事業の補助に関する条例の一部を改正する条例」は、自宅の資産価値が500万円以上ある65歳以上の世帯に、評価額の7割を生活資金として貸し付け、その間は保護費の支給を停止できるようにするための改正です。貸付金は本人が死亡後に不動産を処分して清算することになり、同居する相続人がこのために住居を失う恐れが強く、社会保障制度に反するものと言わなければなりません。よって、第30号議案には反対です。

 次に、第31号議案「埼玉県衛生試験手数料条例の一部を改正する条例」ですが、116の検査項目のうち74の項目について手数料の額を引き上げるというもので以下の理由で反対です。外部監査の指摘で「適切な稼働想定時間に基づく人件費を算定したこと」などがひきあげの理由ですが、年間の検査件数は約3,680件にのぼり、その9割は水質検査です。個人から持ち込まれる井戸水などの検査が約6割を占めているように、県民の健康、安全に関係する検査にまで人件費分を上乗せするのは、いかがなものでしょうか。

 次に、第36号議案「埼玉県農業大学校条例の一部を改正する条例」及び第42号議案「県立学校授業料等徴収条例の一部を改正する条例」は関連しておりますので、一括して討論いたします。

 これは、農業大学校や全日制県立高等学校の授業料を11万8,800円へと3,600円引き上げるものです。県立高校では全日制と定時制だけで約3万5千人もの生徒が影響をうけますが、年金保険料の引き上げや定率減税の廃止などで保護者たちの可処分所得が下がる一方であります。

 ワーキングプアが取りざたされていますが、低所得世帯が増大するなか、県は既に本年度授業料減免枠を狭め、1学年で約1000人もの生徒を減免の対象から閉め出しています。その上に授業料を値上げすることは認められません。

 次に、第40号議案「県営住宅条例の一部を改正する条例」は入居承継を原則として、配偶者及び1親等の高齢者、障害者等で特に居住の安定を図る者に限り承認するものです。子育て世帯や既存の高齢入居者など、やむを得ない事情がある場合は5年以内の期限付入居承継を認めるとしていますが、同居者を何の受け皿も用意しないまま期限での追い出しが強行されれば、新たにホームレスをも作り出しかねません。入居承継の基準を厳しくしなければならない背景には、県営住宅への需要が増え続けているにもかかわらず、県営住宅の新規建設を抑制していることにあります。このために、低所得者であっても県営住宅の入居がますます困難になっているのが実情です。県営住宅の供給を増やさずに、入居者の回転率を上げて局面を切り抜けようとする姑息なやり方では、今日の深刻な住宅難を解消することはできません。本県の公営住宅比率は1.58%と東京都や大阪府などの4分の1程度に過ぎません。承継基準の見直しではなく県営住宅の大幅建設こそいま県政に求められている課題であります。

 次に、第49号議案「埼玉県立自然と川の博物館条例の一部を改正する条例」は、指定管理者制度を導入するための改正です。

 川の博物館は確かにアミューズメント性の強い施設ですが、博物館は社会教育施設として調査・研究、資料収集など学術的な側面もあり、そうした学術的な調査・研究と展示・体験活動は一体のものであります。

 アドベンチャーシアターや荒川わくわくランドといったアミューズメント性の強い展示施設に民間企業のノウハウを生かすことは大事なことですが、それは現在の業務委託方式でも十分であります。博物館には調査・研究の蓄積という継続性が求められており、そういう点からも指定管理者制度の導入はなじまないと考えますので、改正には反対です。 

 次に、第50号「埼玉県立武道館条例の一部を改正する条例」については、同施設に指定管理者制度を導入するものですが、私たちはかねてから社会教育施設には、経営的手法はなじまないと考えており、反対です。

 続いて請願に対する討論に移ります。

 議請第1号「法務局職員を増員すること及び公共サービスの民営化を安易に行わないことに対する意見書の採択・提出について」については審査結果は不採択でありますが、わが党は採択を主張するものです。

 法務局は登記をはじめ戸籍・国籍・供託・訟務・人権擁護など国民の権利と財産を守る多様な業務を取り扱っています。

 近年では、社会情勢の変化のなかで、地図整備事業の推進をはじめとする新たな施策の増加、国民の権利意識の高揚による相談件数などが加わり、事務負担が増加し、業務内容も複雑・高度化しつづけております。ところが、法務局の所掌事務である登記事件が30数年前に比べ2倍にも増えているにもかかわらず、同時期に増員された職員の増員は18%にとどまるなど、法務局の職場では慢性的な要員不足におかれ、増え続ける業務量に十分対応できず、国民が期待する行政サービスの維持が困難となっているのが実情です。国に対して専門的知識を備えた法務局職員の体制を整備することを求めるよう要望したこの請願については、直ちに採択すべきであります。

 次に、18年議請第12号「すべての子どもにゆきとどいた教育をすすめることについて」の第4項ですが、審査結果は継続審査ですが、わが党は採択を主張するものです。

 本請願は学費と教育条件の公私格差を解消するために、私学助成を増額することを求めたものです。

 かねてより指摘して参りましたように本県の私立学校運営費補助単価は国の基準を3万円程度下回り、全国最下位となっております。

 新年度予算では、単価を300円程度引き上げるものの、全国の水準に比べて低い実態に何らの変化もございません。私立学校の中には経費削減のため専任教員を減らして非常勤講師を増やす傾向も見られ、学費値上げの動きも広がっています。

 今議会での採択が見送られ継続審査となった場合、請願は審議未了廃案となるわけで、38万筆もの署名が添えられた請願をこのような形で葬ることには賛成できません。

 本請願については今議会で採択し、公私間格差の解消を求める生徒や保護者の期待に応えるべきであります。


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